エンパワーは、全国約1,400店舗（2025年8月時点）の「買取大吉」ネットワークを運営し、リユース業界の中でも急成長を遂げた企業です。2025年には店舗数で業界No.1を達成し、全国に広がるフランチャイズ網を通じて地域に根ざしたリユースサービスを展開しています。

持続可能な社会への関心が高まるなか、同社はリユースを通じて循環型社会の形成に貢献。買取から再流通までを一気通貫で支える仕組みと、加盟店への手厚い支援体制を両立しています。

本稿では、エンパワーの事業戦略や成長の軌跡、そしてリユース業界に与える影響について詳しく解説します。

エンパワーとは？

株式会社エンパワーは、2010年に設立された東京都新宿区本社のリユース企業で、「買取大吉」ブランドを中心に、全国規模でのフランチャイズ事業を展開しています。

ブランド品や貴金属、時計、家電など多様な品目を扱う買取専門フランチャイズを軸に、全国へ店舗網を拡大。本部ではオーナー教育や広告支援を通じて加盟店の経営を支援し、地域に根ざしたリユースサービスを広げています。

主力事業とビジネスモデル

エンパワーの主力事業は、フランチャイズ展開による買取販売チェーン運営と、それを支えるオンライン・オークションを組み合わせた仕組みにあります。両輪のビジネスモデルが、地域と全国市場での流通を支えています。

フランチャイズ本部による全国展開

エンパワーの成長の柱は、「買取大吉」を中心としたフランチャイズチェーンの全国展開にあります。
本部では、開業準備から運営支援までを一貫して行う総合サポート体制を整備し、加盟オーナーの独立と経営を支援しています。

また、加盟オーナー同士の情報共有や相互支援を促すネットワークを構築し、現場の声を迅速に経営改善へ反映。地域密着と全国統一を両立させるこの運営モデルは、エンパワーならではの競争優位性であり、リユース業界におけるフランチャイズ運営の新たなスタンダードを築いています。

オークションと多チャネル流通による循環モデル

もう一つの柱として、エンパワーは「大吉オークション」という自社オークション事業を展開。プレス・業界報道において、オンラインでの出品・入札と、広域バイヤーとの取引調整に触れられており、買取品を地域店舗に留めず全国・海外ニーズまで視野に入れた流通に接続しています。

この流通網の整備により、買取から売却までのサイクルをスムーズに回すことが可能となり、在庫回転の効率化と買取価格の維持につながります。さらに、Web申込・SNS集客・動画発信といったオンライン接点を店舗運営に連動させる仕組みも構築されており、従来型の店舗買取モデルにデジタルチャネルを重ねることで、全国展開とデジタル流通の融合を進め、次世代型のリユース流通モデルを築いています。

このように、エンパワーは“フランチャイズ展開＋オークション販路”という二軸を中心に、地域密着と広域流通のバランスを取りながら、リユース事業モデルを確立しています。

エンパワーの成長戦略

エンパワーの成長を支えているのは、フランチャイズによる人材育成と、全国規模でのブランド戦略です。 2024年9月期の売上高は約810億円に達しており、設立からわずか15年でリユース業界の主要プレイヤーへと成長しました。

ここでは、同社がどのように持続的な拡大を実現しているのか、その仕組みと戦略をひも解きます。

フランチャイズ展開と人材育成の強化

全国展開を支える基盤となっているのが、人材育成と教育体系の充実です。
エンパワーは、「オーナーを経営者として育てる」ことを重視し、開業前研修では査定スキルや接客マナーに加えて、店舗運営・広告戦略・経営管理まで体系的に学べる環境を整えています。業界未経験者でも短期間で独立できる仕組みを確立しており、多様なバックグラウンドを持つ人材の参入を後押ししています。

さらに、開店後はSV（スーパーバイザー、加盟店支援担当者）やサポート部門が各店舗を巡回し、販売データや顧客動向の分析をもとに経営改善を支援。フランチャイズ間の品質格差を抑えつつ、社員・加盟オーナー双方に「経営者意識」を育む教育方針が、持続的な成長の原動力となっています。

国内市場拡大とマーケティング戦略の展望

エンパワーは、国内市場を軸に「ブランド価値の向上」と「認知拡大」を両立させるマーケティング戦略を展開しています。

全国1,400超のネットワークを活かし、テレビCM・Web広告・SNSプロモーションを組み合わせた統一的なブランディングを推進。これにより、「買取大吉＝信頼できる全国ブランド」という認知を確立しています。

各地域の店舗では、統一されたブランドイメージのもとで接客品質を維持しつつ、地域特性に合わせた集客施策を実施。たとえば、地元メディアとのタイアップやSNS投稿による地域密着型の発信を行うことで、幅広い世代からの利用を促進しています。

今後も、リアル店舗の信頼性とデジタル広告の拡散力をかけ合わせたハイブリッド型のマーケティングを強化し、利用者にとって“最も身近で安心できる買取拠点”としての地位をさらに高めていく方針です。

エンパワーの業界への影響

全国1,400店舗以上を展開するエンパワーは、リユース業界の中でも特に「信頼の可視化」と「社会貢献型モデル」の両立に注力しています。店舗の増加が単なる規模拡大にとどまらず、業界全体のイメージ向上と地域活性化につながっている点に注目が集まっています。

信頼の可視化と接客品質の統一

エンパワーの強みは、全国展開に伴うブランド統一力と、接客品質の維持にあります。査定士の教育・認定制度を通じて、どの店舗でも同水準の査定基準と顧客対応を実現。これにより、「リユース＝安心して利用できるサービス」という社会的認知を拡大してきました。

特に「透明な査定プロセス」や「即金買取」の仕組みは、初めてリユースサービスを利用する顧客にとっての心理的ハードルを下げる効果をもたらしています。さらに、テレビCMや口コミを通じたブランドの浸透により、「買取大吉＝信頼できる窓口」という印象が定着。結果として、同社の取り組みがリユース市場全体の信頼度向上に寄与しています。

また、フランチャイズ本部が提供する店舗管理・顧客対応データのフィードバックを通じて、各店舗がサービス改善を継続できる体制を整備。顧客満足度の可視化と品質統一の両立が、業界の成熟を後押ししています。

寄付スキームと社会貢献型リユースの拡大

エンパワーは、リユースを「社会課題解決の手段」として発展させており、その象徴が「買取大吉モノ募金」です。
この取り組みは、顧客が不要になったブランド品や貴金属などを査定に出し、その査定額をそのまま被災地支援や福祉団体に寄付できる仕組みです。PR TIMESのプレスリリースによると、2024年以降も継続的に展開されており、CSR活動として高く評価されています。

また、店舗スタッフや加盟オーナーも地域清掃・防災啓発イベントなどに自主的に参加し、地域社会との接点を深めています。これらの活動が、「リユース＝社会的に価値ある行動」という新しい消費意識を醸成し、業界全体のイメージを刷新しています。

こうした“地域に根ざす社会貢献”の姿勢は、単なる企業のCSRにとどまらず、加盟店・顧客・地域社会が一体となって支える“共助型リユースモデル”として確立しつつあります。今後は、こうした信頼と共助の仕組みをデジタル化で支える動きにも注目が集まっています。

デジタル活用と今後の展望

エンパワーは、全国ネットワークの拡大と並行して、デジタル技術を経営と現場の両面に取り入れています。AIやデータ分析を活用し、加盟店の経営支援や顧客体験の向上を実現。リアルとデジタルを融合したリユースモデルを構築し、業界のDX（デジタルトランスフォーメーション）を牽引しています。

顧客接点のDX化とデータ活用

エンパワーでは、オンライン査定・SNS広告・動画発信などを通じて、リアル店舗とデジタルを組み合わせた新しい顧客体験を展開しています。

公式SNSやYouTubeでは、査定の流れや商品知識を発信することで、透明性とブランド信頼の向上に寄与しています。

また、本部ではデータ分析ツールを導入し、加盟店の販売動向や顧客属性を可視化。店舗ごとの販売効率や広告効果を数値化し、運営改善を支援しています。

AIによる需要予測や在庫分析の実装も進み、買取から販売までのプロセスを最適化。データドリブン経営によって、全店舗の意思決定スピードと収益性を高める仕組みが整いつつあります。

加盟店支援と業界全体への波及効果

エンパワーのデジタル活用は、単なる自社効率化にとどまらず、加盟店支援の高度化にも直結しています。

フランチャイズ本部では、オンライン研修プラットフォームを通じて査定・接客・運営ノウハウを共有し、全国どこからでも最新の知識を学べる環境を整備。加盟オーナーの経営スキル向上と人材育成の強化を支えています。

さらに、マーケティングデータを活用して地域特性に合わせた広告配信を行うことで、店舗ごとの集客を最適化。デジタルツールを介した一体運営が、フランチャイズ全体の成長を支える基盤となっています。

こうした取り組みは、リユース業界全体のDX促進にも波及しており、「デジタルと人の力で地域を動かす」という新しいリユース経済圏の形成に貢献しています。
今後も、全国ネットワークとデジタル基盤を融合させながら、次世代のリユースインフラとして社会に根付くモデルを目指しています。

安定と挑戦を両立できる、リユース業界の新たなステージへ

エンパワーは、全国に広がる店舗網とデジタル基盤を活かし、リユース業界の未来を切り拓いている企業です。フランチャイズ本部として加盟店と共に成長しながら、社会貢献や環境活動にも真摯に取り組む姿勢は、単なる買取ビジネスの枠を超えています。

ブランド品や貴金属の査定、店舗運営、オークション運用、データ分析など、多様な業務を通じてキャリアを築ける点も魅力のひとつです。接客や販売経験を活かして新しい分野に挑戦したい方、地域に根ざした仕事を通じて社会に貢献したい方にとって、エンパワーは理想的な環境といえます。

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