【リユース業界研究】現状と未来を徹底解説
2025.03.30

日本のリユース市場は近年ますます拡大し、2023年には市場規模がついに3兆円を突破しました。2009年には約1.1兆円規模だったことを考えると、この十数年で約3倍に成長したことになります。
環境省の調査によれば、この成長の勢いは今後も続くとされており、2030年には約4兆円規模に達する見通しです。モノを再び循環させるというリユースの考え方が、サステナブルな社会づくりと経済活動の両立を後押ししています。
本記事では、リユース業界の市場動向やビジネスモデル、主要企業の特徴、そして今後の成長性について詳しく解説します。また、デジタル技術の活用や国内外の市場動向にも触れながら、リユース業界の未来を多角的に見ていきます。
リユース業界とは?市場規模や動向を解説
リユース業界は、使われなくなった製品や保管されたままの品物を、必要とする人のもとへ再流通させることで新たな価値を生み出すビジネスです。近年は、フリマアプリやオンライン取引の普及により、中古品が身近な選択肢となり、市場全体の成長を後押ししています。
この業界では、単なる売買にとどまらず、検品、メンテナンス、撮影、価格設定、ECサイトでの販売といった多様な業務が行われています。個人の不用品を扱うだけでなく、法人の在庫処分や余剰品の流通など、企業ニーズにも応える柔軟な仕組みが整ってきました。
リユースは、新品が流通する「一次流通」に対して、「二次流通」を担う存在です。まだ使えるモノを廃棄せず再活用することで、資源の無駄を防ぎ、環境への負荷も軽減できます。循環型経済(サーキュラーエコノミー)への関心が高まる今、社会的にも重要な役割を果たす産業として位置づけられています。
リユース業界の定義とは?リサイクルとの違い
リユースとは、まだ使えるモノをそのままの形で再使用することを意味します。たとえば、ブランドバッグや家電製品などを再び販売することは、リユースにあたります。一方、リサイクルは一度素材に戻してから、新たな製品に作り変える工程を指します。使用済みのペットボトルを溶かして再生プラスチックにするのは、リサイクルの例です。
リユース業界の市場規模はどのくらい?国内外の成長性
日本のリユース市場は拡大を続けており、衣料品やブランド品、家具・家電など、幅広い分野で取引が活発になっています。中でも人気が高いのが、中古のブランド品やアパレルで、衣料品分野だけで市場全体の約20%を占めています。
海外でもリユースの動きは加速しており、アメリカでは中古ファッション市場が力強く成長しています。2025年時点での市場規模は約430億ドル(約6.6兆円)に達しており、2029年には740億ドル(約11.4兆円)に達する見込みです。さらに、世界全体の中古アパレル市場も2029年までに3,670億ドル(約56.5兆円)に拡大すると予測されています。
こうした背景には、サステナブルな消費行動の広がりがあり、モノを大切に使う意識が社会全体に根づき始めていることが挙げられます。こうした動きは「セカンドハンド消費」とも呼ばれ、環境への配慮や価格面でのメリットから、特に若い世代を中心に支持を集めています。
世界的なこうした潮流を受けて、日本のリユース企業も越境ECや海外店舗の展開を積極的に進めています。グローバルに広がる市場とともに、リユース業界は今後さらに注目される成長分野となっており、キャリアの選択肢としても大きな可能性を秘めています。
出典:ThredUp「2025 Resale Report」
リユース市場はなぜ拡大しているのか?成長要因を分析
リユース市場の成長には、さまざまな要因が関係しています。なかでも大きな変化のひとつが、消費スタイルの多様化です。メルカリやラクマなどのフリマアプリが普及したことで、個人同士が直接モノを売買するCtoC(Consumer to Consumer)取引が一般化し、中古品の流通がより身近なものとなりました。
また、円安や物価上昇の影響から、安くて質の良いモノを選びたいというニーズが高まり、中古品が現実的な選択肢として注目を集めています。特に若い世代を中心に、ユーズドアイテムの個性やサステナブルな価値に共感する声が増えています。
供給面でも変化が見られます。断捨離や終活をきっかけに家庭からの出品が増え、さらに企業在庫や返品品を再流通させる動きも活発になっており、市場の流通量が拡大しています。
加えて、アパレルブランドやECプラットフォームなど、企業によるリユース事業への参入も進んでいます。AI査定やデータ活用による業務の効率化や、新たなサービス展開によって、業界全体にイノベーションが広がりつつあります。
このように、社会・経済・テクノロジーの変化が重なり合い、リユース市場は今後も持続的な成長が期待される分野となっています。
リユース業界の主なビジネスモデルとは?
リユース業界では、モノを繰り返し活用するという共通の考え方のもと、さまざまなビジネスモデルが展開されています。扱う商材やサービスの形態によって仕組みは異なり、それぞれに強みと特色があります。
まず広く普及しているのが、買取販売型です。一般の消費者から商品を買い取り、検品やクリーニング、必要に応じた補修を行ったうえで販売します。セカンドストリートやハードオフのような店舗型企業が多く取り入れており、家電や衣類、ブランド品など幅広いジャンルで展開されています。
次に、委託販売型があります。こちらは売主から商品を預かり、販売が成立した時点で手数料を差し引いて代金を支払う方式です。高額なブランド品や楽器など、慎重な売買が求められる商品でよく用いられます。
個人間での取引を支えるのが、プラットフォーム型(CtoC取引)です。メルカリやヤフオクなどのサービスが代表的で、出品から購入までを個人同士で完結できるのが特徴です。運営企業は手数料を主な収益源とし、スマートフォンの普及とともに市場を大きく広げました。
また、チャリティ型の取り組みも広がりつつあります。不要品を寄付として受け付け、販売した収益を福祉や地域支援などの社会貢献活動に活かすモデルです。リサイクル団体や一部のNPO法人がこの形を採用しており、リユースの価値を「循環」と「支援」の両面から伝えています。
近年では、レンタル・サブスクリプション型の需要も高まっています。洋服、家具、ベビー用品などを月額制で貸し出すサービスで、「一時的に使いたい」「所有はしたくない」といったライフスタイルの変化に対応しています。気軽に利用できる点が支持されており、若年層を中心に広がりを見せています。
さらに、法人間で中古品を売買するBtoB型もあります。中古のオフィス家具や建設機械、業務用機器などを企業同士でやり取りするモデルで、効率的な資産活用の手段として注目されています。
最後に、メーカーや小売企業が自社製品を再整備して再販売する循環型の取り組みも進んでいます。パナソニックや無印良品などが、回収・整備・再販までを一貫して行う仕組みを整えており、ブランド価値の向上と環境負荷の低減を両立させています。
このように、リユース業界には目的や対象に応じて多様なビジネスモデルが存在しています。それぞれが社会の変化や消費者の価値観に柔軟に対応しながら、業界全体の成長を支えています。
どのような仕組みでリユースビジネスは成り立っている?
リユースビジネスは、商品の「仕入れ」「選別・査定」「販売」の3つのステップを軸に展開されています。まず、個人や法人から不要になった商品を仕入れ、その状態や市場価格をもとに査定を行います。その後、適切な販売チャネルを選び、再び市場に流通させることで収益を生み出すのが基本の流れです。
この一連のプロセスでは、在庫の回転率をいかに高めるか、どれだけ精度の高い需要予測ができるかが、ビジネスの成否を左右します。効率的な運営と収益性を両立させるためには、経験だけでなくデータに基づいた判断力も求められます。
仕入れ方法の種類(買取、寄付、オークションなど)
リユース商品の仕入れにはさまざまな方法があります。もっとも一般的なのは「買取」で、店舗への持ち込みや宅配による査定を通じて商品を買い取ります。ブランド品や家電など、高価格帯の商品を安定的に仕入れる手段として広く活用されています。
一方、「寄付」は、不要になったモノを無償で引き取る形での仕入れで、特にチャリティ型や総合型の企業に多く見られます。コストを抑えながら多くの在庫を確保できる点がメリットです。
さらに、リユース事業者同士で商品をやり取りする「業者オークション」も重要な仕入れルートのひとつです。この手法は、短期間で大量の商品を確保したい場合や、特定ジャンルに強い在庫をそろえたい企業によく活用されています。
販売チャネルの違い(店舗、EC、海外輸出)
販売チャネルも年々多様化しています。従来の実店舗に加えて、ECサイトやフリマアプリ、自社オンラインストアなど、インターネットを活用した販売が広がりを見せています。オンライン販売は、立地に左右されずに幅広い顧客層へアプローチできる点が魅力です。
また、国内市場で需要の少ない商品や売れ残り品は、東南アジアやアフリカなど海外市場への輸出によって活路が見いだされるケースも増えています。販売チャネルの選び方次第で利益率や在庫回転率に大きく影響するため、それぞれのマーケットに合わせた戦略が求められます。
総合型と専門型の違いとは?業態別の特徴を解説
リユース業界には「総合型」と「専門型」という2つの主な業態があります。
総合型は、衣類、家電、ホビー用品、ブランド品など多ジャンルの商品を扱うスタイルで、幅広い客層に対応できるのが強みです。全国展開している大手リユースチェーンなどに多く見られます。
一方、専門型は特定のジャンルに特化しており、たとえばブランド品、アウトドア用品、楽器などに絞って高い専門性を発揮します。査定力や商品知識、販売戦略に強みがあり、高単価での販売が可能です。
この業態の違いにより、現場で求められるスキルやキャリアの広がり方も異なります。たとえば総合型ではマルチな対応力、専門型ではジャンル特化型の深い知識が求められるなど、それぞれに合った人材が活躍しています。
デジタル技術がリユース業界に与える影響とは?
近年のデジタル技術の進化により、リユース業界の現場にも大きな変化が生まれています。たとえば、AIを使った自動査定や価格の自動調整、在庫の最適化などが実用化され、属人的な判断から脱却しつつあります。
さらに、SNSを活用した集客・プロモーションも進んでおり、InstagramやTikTokなどでの発信を通じて若い世代との接点を増やす企業も増えています。こうした取り組みによって、リユースは単なる「中古品販売」から、デジタルと融合した新しい消費スタイルの提案へと進化しています。
業界全体としても、こうしたIT活用による業務効率化と収益性向上の動きは、今後さらに加速していくと見られています。
リユース業界の主要企業とそれぞれの特徴
リユース業界では、大手チェーンから地域密着型の中小企業、さらには独自のサービスで成長するスタートアップまで、多様な企業が活躍しています。それぞれが買取方法や販売チャネル、取り扱いジャンル、デジタル活用の方法などに工夫を凝らし、顧客ニーズに応じた独自の戦略を展開しています。
国内のリユース業界を牽引する企業は?
日本国内では、総合型と専門型の企業がバランスよく市場を支えています。たとえば、ハードオフやブックオフ、セカンドストリート(ゲオグループ)、トレジャーファクトリーなどは、全国に店舗を構え、強い仕入れ力と販売ネットワークを活かして成長を続けています。
ハードオフ、ブックオフ、ゲオ(セカンドストリート)、トレジャーファクトリーの事業戦略
ハードオフは、家電や楽器、工具などを中心に幅広く中古品を扱い、フランチャイズ展開を通じて地域に根ざしたサービスを提供しています。
ブックオフは書籍を中心にスタートし、現在ではアパレルやホビー、家電まで取り扱いジャンルを拡大。買取と販売の両面でユーザーの利便性を追求しています。
セカンドストリートは、店舗とオンラインの連携が強み。若年層へのアプローチを意識したUI設計やSNS活用によって、ブランド認知を高めています。
トレジャーファクトリーは、店舗とECの連携を重視し、在庫や売上のデータをもとに効率的な販売戦略を展開しています。
参照:ブックオフグループホールディングス、ゲオホールディングス、トレジャーファクトリー
海外のリユース市場はどうなっている?
海外、とくに欧米では、リユース文化が生活に深く根づいており、ブランド品や家具、ファッションアイテムの再利用が当たり前の選択肢として受け入れられています。
アメリカでは、オンライン専門のリユース企業であるThredUpやThe RealRealが大きく成長しています。どちらも高品質な中古商品をEC上で取り扱い、ユーザーから高い信頼を得ています。
ThredUpは、AIによる査定やパーソナライズ機能を取り入れ、業務の効率化を図っています。こうした仕組みによって、年間1,700万点以上の衣料品を再販する規模へと拡大しています。
一方、The RealRealは高級ブランド品の委託販売に特化しており、専門の鑑定士による真贋判定を行うことで、安心して中古品を購入できる環境を整えています。
一方、アジア市場に目を向けると、日本の中古品に対する評価の高さが目立ちます。とくに品質の良いブランド品や電化製品は人気があり、越境ECを活用して販路を広げる日本企業も増加しています。
出典:ThredUp「2025 Resale Report」
中小企業やスタートアップの動向とは?
中小企業やスタートアップも、独自のアプローチでリユース業界に新しい風を吹き込んでいます。たとえば、アウトドア用品専門の買取・販売を行う「マウンテンシティ」や、ブランドバッグやジュエリーなどに特化した「ブランディア」のように、特定ジャンルに絞った専門型の買取サービスが増えており、専門性と使いやすさで支持を集めています。
また、LINEや専用アプリを活用した出張買取サービスも注目されています。宅配買取サービス「バイセル」では、チャットを通じた事前相談や予約が可能で、高齢者など店頭に行きづらい層からのニーズにも応えています。
さらに、AIによる自動査定や、顧客データを活用したマーケティングを導入する企業も登場しています。たとえば「ジラフ」が提供するブランド査定サービスでは、AIが商品画像を解析して査定金額を提示する仕組みを導入し、人手に頼らない高速かつ安定した査定が可能になっています。
こうした中小・スタートアップ企業は、大手にはない機動力や柔軟性を武器に、新たなニーズを素早くキャッチし、サービス開発に活かしています。テクノロジーと接客のバランスをうまく取り入れたこれらの取り組みは、今後の業界全体の変革にもつながっていくと期待されています。
リユース業界の将来性は高い?今後の展望
リユース業界は、デジタル技術の進化と消費者意識の変化を背景に、今後も拡大が見込まれる分野です。国内市場は一定の成熟を見せつつありますが、家庭内に眠る資産の流動化や越境ECの広がりなど、まだ多くの可能性が残されています。時代に合ったサービスや技術を取り入れていくことが、今後の成長を左右する重要なカギとなります。
なぜリユース市場は今後も拡大すると言われているのか?
中古品の需要が高まっている背景には、物価上昇などの経済的な要因だけでなく、価値観の変化やテクノロジーの進化があります。単に価格の安さを求めるだけでなく、「モノを大切に使いたい」「必要な人に渡ってほしい」といった考え方が浸透し、リユースが生活の一部として受け入れられるようになってきました。
また、デジタル技術の進展により、誰でも気軽に売買ができる環境が整い、新たに参入する企業も増加しています。こうした背景が、リユース市場の広がりを後押ししています。
消費者意識の変化(SDGs、エシカル消費の普及)
近年は、環境や社会に配慮した“エシカルな消費”を意識する人が増えています。新品にこだわらず、価値あるモノを長く使うという考え方は、特に若年層を中心に広がりを見せています。
また、企業の側でもSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが進み、リユースをサステナブルな流通モデルとして位置づける動きが加速しています。こうした消費者と企業の意識変化が、リユースを後押しする大きな原動力となっています。
不景気でも需要が落ちにくい市場特性
リユース市場の特徴のひとつに、景気の影響を受けにくいという点があります。経済が不安定な状況でも、「少しでも安く、良いモノを手に入れたい」というニーズが底堅く存在するため、市場全体が大きく落ち込むリスクが比較的少ないのです。
また、使わなくなったモノを売ることで現金化したいという需要も同時に高まり、不況時にも売り手・買い手の両方のニーズが維持されやすいという強みがあります。
家庭に眠る「かくれ資産」の流動化
家庭の中には、すでに使わなくなったものの中に、リユース市場で価値のある「かくれ資産」が多く眠っています。古いブランドバッグ、着なくなった洋服、使わなくなった家電やベビー用品など、一見不要に思えるものでも、市場では需要があり、再販価値のあるケースは少なくありません。
こうした商品を再流通させることで、個人にとっては臨時収入となり、企業にとっては安定した仕入れにつながります。たとえば、ブランディアやトレファクスタイルでは、ブランド品を自宅から宅配で送り査定・売却できる仕組みが整っています。また、バイセルやCASHといったサービスでは、スマホひとつで商品の撮影・査定依頼が完結し、スピーディに現金化できる点が支持されています。
デジタル化によるリユース市場の変革とは?
リユース業界では、AIやデータ分析を活用した効率化が急速に進んでいます。商品査定、在庫管理、販促施策などの分野では、デジタル技術の導入によって、これまで人の経験や勘に頼っていた部分が、より正確かつスピーディな仕組みへと進化しています。
一方で、高額なブランド品や希少な商品の真贋判定、状態評価など、最終的な判断には今もなお専門スタッフの目が欠かせません。AIの精度が向上する一方で、経験に裏打ちされた人の判断力とテクノロジーの併用が、信頼性の高いサービスを支える要素となっています。
また、ユーザーとの接点もオンライン化が進んでおり、ECサイトやアプリを通じて、より利便性の高い購買体験が提供されています。写真や動画を活用した商品紹介、チャット接客など、デジタルならではの工夫によって、対面に近い安心感を得られるようになっています。
AIによる査定の自動化と精度向上
近年は、AI技術を活用して、商品画像や情報から自動的に査定価格を算出するシステムが導入されるようになりました。これにより、査定にかかる時間が大幅に短縮されるだけでなく、価格の透明性や精度も向上しています。特に、アイテムの種類やブランドごとの過去販売実績をもとにした価格設定が可能となり、誰が査定しても一定の基準で判断できるようになっています。
たとえば、ブランド買取サービスを展開する企業の中には、独自のAI査定エンジンを用いて、商品画像をアップロードするだけでおおよその買取金額を提示できる仕組みを提供しているところもあります。こうした技術は、ユーザーにとっての利便性を高めるだけでなく、企業側にとっても人的リソースの最適化や査定業務の平準化につながっています。
とくにECと連携している企業では、このAI査定と在庫連動システムを組み合わせることで、買取から商品化、オンライン販売までの流れがスムーズになり、リードタイムの短縮が実現しています。その結果、より多くの商品を効率的に市場に届けることが可能になり、在庫回転率の向上や売上拡大にもつながっています。
AIによる自動化が進む一方で、状態確認や真贋判断といった領域では、引き続き人の目によるチェックが欠かせません。テクノロジーと人の力を適切に組み合わせることが、信頼性の高いリユースビジネスを支えるポイントとなっています。
ECプラットフォームの進化と販路の拡大
CtoC型のメルカリやヤフオクといったフリマアプリに加え、企業が独自に運営する自社ECサイトや、楽天市場・Amazonなどのオンラインモールを活用した販売の仕組みも急速に整備されています。こうした複数の販路を持つことで、ユーザーは商品ジャンルや価格帯に応じて、最も利用しやすいチャネルを選ぶことができるようになりました。
また、SNSやスマホアプリと連動したマーケティング施策も活発に行われています。たとえばInstagramやTikTokを使った商品紹介やキャンペーン情報の発信、LINEを使った買取相談・再入荷通知など、顧客との接点をデジタル上で構築し、購買体験の幅が広がっています。ユーザーは自宅にいながら、スマートフォン一つで商品の検索・購入・問い合わせができる環境が整ってきました。
これにより、実店舗を持たない事業者でも、全国どこからでも顧客を獲得できるようになり、初期投資を抑えたオンライン特化型ビジネスの展開が可能になっています。実際に、オンライン販売のみで成長を遂げたリユース系スタートアップも多数存在しており、テクノロジーを活用した新たなビジネスチャンスが生まれています。
今後は、実店舗とECの併用による「オムニチャネル化」も進み、消費者はより柔軟に商品と出会える時代へと進化しています。リアルとオンラインを効果的に組み合わせた戦略が、企業の成長を左右する重要な要素となりつつあります。
海外展開の可能性は?国際市場への進出事例
日本の中古品は、その品質の高さや丁寧なメンテナンス状態から、海外でも非常に高く評価されています。特にアジア圏や中東地域では、「Made in Japan」や「Used in Japan」といった表記が信頼の証とされており、ブランド品、家電、アパレル、カメラ、時計などの分野で安定した需要があります。
こうした背景のもと、日本のリユース企業の間では越境ECを活用した海外販売が広がっており、eBayやShopee、Lazadaといった海外プラットフォームへの出品が活発になっています。また、海外市場に直接アプローチするために、現地に物流拠点や販売パートナーを設ける企業も増加中です。たとえば、トレジャーファクトリーは台湾に出店を果たし、セカンドストリート(ゲオ)はアメリカ本土やタイなどに実店舗を展開しています。
加えて、日本の消費者が手放す商品は状態が良く、真贋確認がしっかり行われていることもあり、高額商品でも安心して購入されやすいという強みがあります。このような特性は、EC中心のグローバル市場において大きな競争力となっており、特に高級ブランド品やヴィンテージアイテムの再評価を背景に、日本からの輸出量は今後さらに増加していくと予想されています。
今後は、言語対応や国際物流の強化、現地ユーザーへのマーケティング最適化が進むことで、日本のリユース業界が国際的にさらに存在感を増すことが期待されています。海外市場の拡大は、新たな販路の確保だけでなく、業界全体の成長を支える大きな柱になりつつあります。
まとめ
リユース業界は、環境・経済・社会の三位一体で価値を提供する注目産業です。中古品に新たな価値を与える仕事は、やりがいがあり、今後ますます求められる分野と言えるでしょう。EC運営やSNSを活用した販促、海外展開や新サービスの立ち上げなど、職種も多様でキャリア形成の選択肢も豊富です。
転職を考える方にとって、安定性と成長性の両方を兼ね備えた魅力的な業界です。自分の得意分野を活かしながら、社会に貢献できるフィールドとして、リユース業界は魅力ある選択肢のひとつです。