リユース業界の注目スタートアップ企業の事例を紹介
2025.04.27

中古市場の拡大や持続可能な社会への関心が高まる中、リユース業界にも新たな風を吹き込むスタートアップ企業が続々と登場しています。クラウドやAIなどのデジタル技術を活用し、買取・流通の仕組みを効率化したり、国内外の潜在的なリユース需要を掘り起こしたりと、従来の業態にとどまらない挑戦が見られます。本記事では、リユース業界で注目されているスタートアップの事例やその特徴、成功のポイントを解説します。
リユース業界でスタートアップが注目されるのはなぜ?
リユース業界は、近年急速に存在感を高めるスタートアップの登場によって、これまでのイメージを大きく刷新しています。単なる「中古品の売買」から、デジタル技術やグローバルな視点を取り入れた新たなビジネスモデルへと進化しており、転職市場でも注目が集まる分野となっています。では、なぜ今リユース領域のスタートアップが増えているのでしょうか?その背景やビジネスの可能性について詳しく見ていきましょう。
なぜ今リユーススタートアップが増えているのか?
近年、リユース業界ではスタートアップの参入が目立つようになってきました。従来の中古品売買に加えて、テクノロジーやデジタルを駆使した新たなビジネスモデルが次々に登場しています。その背景には、社会的な価値観の変化や国内外の市場ニーズの高まりがあり、起業のチャンスとして注目されています。
消費者のサステナブル志向が背景に
大量生産・大量消費の時代が終わりを迎える中で、消費者の間には「いいものを長く使う」という価値観が広がっています。特にZ世代やミレニアル世代を中心に、環境負荷の低い消費行動への意識が高まっており、これがリユース市場の成長を後押ししています。こうしたニーズに即したサービスを提供できるスタートアップには、既存の大手企業にはない柔軟性とスピードがあり、新たな市場を切り拓く存在として期待が寄せられています。
海外需要の広がりと国内の隠れ資産市場
日本国内には「タンスの肥やし」と言われる未活用の中古品が数多く眠っており、こうした資産を流通させることによって新たな価値を創出する動きが活発です。特にブランド品や高品質な中古製品は、東南アジアや欧米諸国など海外市場での人気も高く、グローバル展開を視野に入れたスタートアップにとっては絶好のビジネスチャンスとなっています。
リユース市場の成長性とビジネスチャンスとは?
リユース業界は、今や成長産業としての存在感を増しています。生活者の行動変容やオンライン取引の普及を背景に、市場規模は拡大の一途をたどっており、多様な商品カテゴリで新規ビジネスの余地が広がっています。ここでは、そうした市場の広がりとスタートアップにとっての具体的なチャンスを解説します。
年々拡大する中古流通市場
日本のリユース市場規模は、2020年代に入ってからも安定的に成長を続けており、特にファッション・ブランド品・家電・ホビー系など幅広い分野で二次流通が活発化しています。経済産業省の報告や各種市場調査でも、中古市場の拡大は明確に数字で裏付けられており、今後も成長が見込まれる分野として注目されています。これにより、リユース業界への新規参入を考える起業家や転職希望者が増えているのです。
BtoB、BtoCの両面で広がる可能性
リユースビジネスの強みは、消費者向け(BtoC)だけでなく、企業間取引(BtoB)にも活路があることです。近年では、小売業者の在庫買取や、法人向けの中古OA機器再販など、法人取引を軸にしたスタートアップも増加傾向にあります。さらに、AIを活用した自動査定ツールや、SNSによるダイレクトマーケティングなど、デジタル技術の活用が参入障壁を下げ、より多様なビジネスモデルの創出を可能にしています。
どんなスタートアップが活躍している?
リユース市場の拡大に伴い、革新的なビジネスモデルを展開するスタートアップが続々と登場しています。従来の買取販売にとどまらず、デジタル技術やグローバル視点を取り入れる企業が多く、転職先としても注目度が高まっています。ここでは、国内外で存在感を示すスタートアップ事例を紹介し、それぞれの特徴や強みを掘り下げていきます。
注目の国内スタートアップ事例は?
国内のリユース業界では、従来の枠組みを超えた新しいビジネスモデルを構築するスタートアップが次々と誕生しています。テクノロジーの導入やニッチ領域への特化、サービスの多角化によって、成長を遂げている企業も少なくありません。ここでは、特に注目されている国内スタートアップの取り組みを紹介します。
NOVASTO|クラウドPOS「ReCORE」で店舗のDXを推進
NOVASTO(ノヴァスト)は、リユース業界向けのクラウド型POS・在庫管理システム「ReCORE(リコア)」を展開するスタートアップです。複数店舗やECサイトとのデータ連携をスムーズに行える点が強みで、リユース店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させています。特にアナログな業務が多かったリユース業界において、業務効率と売上向上を両立させた事例として注目されています。
参照:株式会社NOVASTO
ジラフ|一括査定サイト「ヒカカク!」とトレカC2C「magi」
株式会社ジラフは、スマホやブランド品などの一括査定ができる「ヒカカク!」や、トレーディングカードのC2Cマーケット「magi(マギ)」など、複数のリユース関連サービスを運営しています。買取比較からユーザー同士の直接取引まで幅広く対応しており、ユーザー目線での利便性が評価されています。多角的なサービス展開で中古流通の選択肢を広げる存在です。
参照:株式会社ジラフ
KLD|ファッション特化型のリユース事業と海外展開
福岡発のスタートアップKLDは、ブランド衣料の委託販売と買取を軸にしたファッションリユース事業を展開しています。撮影や商品説明のクオリティにこだわり、ECサイトを通じて全国のユーザーに商品を提供。近年は東南アジアへの輸出や現地法人との連携も進めており、日本発のリユースブランドとしての地位を確立しつつあります。
参照:株式会社KLD
海外で注目されている事例は?
リユースビジネスの可能性は、日本国内にとどまりません。世界的にも循環型経済への関心が高まる中で、グローバルな視点を持つスタートアップの活躍が目立っています。ここでは、海外市場で存在感を示している企業や、国際連携によって事業を広げる注目の事例を取り上げます。
ECOMMIT|国内外の回収・選別・再流通を担う循環商社
ECOMMIT(イーコミット)は、日本全国から不要品を回収・選別し、国内外で再流通させる循環型ビジネスを展開しています。家庭から出る衣料品や雑貨を無駄なく流通させるだけでなく、国内外のパートナーと協業することで、廃棄ゼロに向けた取り組みを推進しています。環境配慮とビジネスの両立を実現する企業として、国際的にも注目されています。
参照:株式会社ECOMMIT
グローバルパートナーとの連携とサーキュラーエコノミーの実現
リユーススタートアップの中には、ヨーロッパやアジアの大手企業と提携し、グローバル規模でのサーキュラーエコノミー実現を目指す動きも広がっています。例えば、欧州のファッションリユース企業との業務提携により、日本の中古衣料品を輸出し、現地市場で再販するケースも増えています。こうした連携は、単なる「国内ビジネス」にとどまらない成長モデルの一端を示しています。
今後の展望とリユーススタートアップの未来は?
リユーススタートアップは今後、より多様な分野と連携しながらビジネスの幅を広げていくと予想されます。消費者の価値観やテクノロジーの進化に対応するだけでなく、行政や既存業界との連携によって、循環型社会を実現する重要な担い手としての役割も期待されています。ここでは、業界連携や今後の成長キーワードをもとに、リユーススタートアップの未来を見通していきます。
どのような業界連携が進んでいく?
リユーススタートアップの成長には、異業種との連携が欠かせません。単独では解決が難しい課題に対して、メーカーや行政などとの協働を通じて新たな価値を創出する事例が増えています。ここでは、特に注目されている業界連携の方向性について見ていきます。
アパレル・家電などとの再販モデルの確立
近年では、大手アパレルブランドや家電メーカーとの連携が進み、製品のライフサイクル全体を見据えた再販モデルの確立が注目されています。たとえば、企業が自社製品のリユースプログラムをスタートアップと共同で展開することで、ブランド価値を保ちつつ環境配慮型の販売チャネルを構築する動きが広がっています。こうしたモデルは、持続可能な消費スタイルとしてユーザーからも支持されつつあります。
行政や自治体との協働による循環型社会の実装
廃棄物削減や資源の有効活用を目的に、自治体とスタートアップが協働する事例も増えています。回収拠点の設置や地場資源のリユース促進など、地域課題を解決する形での連携は、社会的インパクトが大きく注目されています。特に、行政のリソースとスタートアップの機動力を掛け合わせることで、循環型社会の実現に向けた取り組みが加速しています。
今後の成長に向けたキーワードとは?
リユースビジネスが次のステージへと進むためには、変化する市場環境に即した戦略が求められます。国内外の市場動向や資金調達の手法、そして環境対応など、今後の成長を左右する重要なキーワードを取り上げ、それぞれの意味と展望を解説します。
海外市場開拓
国内市場の成熟に伴い、多くのスタートアップが海外展開を視野に入れています。特に日本製の高品質な中古品は、東南アジアや欧米などでのニーズが高く、越境ECや現地パートナーとの提携を通じて販路を拡大する動きが活発です。海外市場を見据えた戦略を持つ企業は、今後の成長ポテンシャルが高いといえるでしょう。
サーキュラーエコノミーへの対応と資金調達力
リユースビジネスを持続的に成長させるためには、単なる売買の枠を超えて、製品の設計段階から再利用を前提とした仕組みづくりが求められます。サーキュラーエコノミーに即したビジネスモデルを構築することが、今後の差別化要因となるでしょう。また、その実現には資金力も重要であり、ESG投資やインパクト投資など新たな資金調達の手段を活用する企業が増えています。
まとめ
リユーススタートアップは、単なる中古品ビジネスの枠にとどまらず、テクノロジーやグローバル視点、そして社会課題の解決をも視野に入れた成長が求められています。業界や行政との連携、海外進出、サーキュラーエコノミーへの対応など、多方面での挑戦が今後の鍵となるでしょう。「リユース転職」では、こうした新たなフェーズに挑む企業への転職支援を通じて、業界の未来をともに創る人材を応援しています。