
2027年4月以降、新品エアコンの価格が大きく変わる可能性があります。国の省エネ基準の見直しにより、これまで5〜7万円台で買えた普及モデルが市場から姿を消す見通しで、業界では新品価格が2〜3割上がるとも言われています。
こうした流れの中で、中古エアコンへの注目が静かに高まっています。総合買取や出張買取の仕事に関心がある方にとっては、この変化が追い風になる可能性があります。
本記事では、2027年問題の中身と中古市場への波及、買取業界の現状を解説していきます。
エアコン2027年問題とは何か
「2027年問題」という言葉を耳にする機会が増えていますが、具体的に何が変わるのか、なぜ今それが話題になっているのかを正確に理解している方はまだ多くありません。まず制度の中身と、新品市場への影響を整理します。
省エネ基準の見直しで何が変わるのか
エアコン2027年問題とは、経済産業省が定める「トップランナー制度」に基づく家庭用エアコンの省エネ基準が、2027年度から大幅に引き上げられることで生じる市場の変化を指します。2022年5月に経済産業省が告示を公布し、壁掛け形エアコン全体で2016年度比約13.7%の効率改善を求める新基準が決定されました。特に普及機種が多い4.0kWクラスでは最大34.7%もの改善が求められており、現行の多くの低価格帯製品はこの基準を満たせない見通しです。
エアコンの省エネ性能を示す指標はAPFと呼ばれ、1年間に必要な冷暖房能力の合計を1年間の消費電力量で割った数値です。たとえば6畳用では現行のAPF5.8から新基準のAPF6.6への引き上げが求められます。この改善によって年間の電気代は約2,760円ほど削減できる試算があり、14畳用では年間1約12,600円の差が出るケースもあります。(出典:資源エネルギー庁)
下の図は、代表的な区分における現行基準と新基準のAPF値をまとめたものです。

図1:家庭用エアコン(壁掛け形)の省エネ基準新旧比較出典:経済産業省「家庭用エアコンディショナーの新たな省エネ基準を策定しました」(2022年2月)を加工して作成
なお、2027年度の対象となるのは家庭用の壁掛け形エアコンです。天井埋め込み型などその他のタイプやマルチタイプについては、2029年度に基準引き上げが予定されています。
2027年4月以降、新品市場はどうなるのか
2027年4月以降、省エネ基準を達成できないエアコンはメーカーが出荷できなくなります。現在5〜7万円程度で販売されているスタンダードモデルの多くが新基準を満たせないため、これらが市場から姿を消していく見通しです。新基準に対応するには熱交換器の大型化や高効率コンプレッサーの採用が必要となり、製造コストが増大します。現在8〜12万円程度の6〜8畳用普及モデルが、2027年以降は12〜18万円前後になると予想されており、安価なエアコンというカテゴリーそのものがなくなる可能性が指摘されています。
2026年後半にはメーカーが新基準対応モデルへの切り替えを前倒しで進めるため、現行の低価格モデルの在庫が減少し始め、品薄・価格高騰が懸念されています。業界では2026年を低価格エアコンを購入できるラストチャンスと位置づける声も多く、駆け込み需要がさらに高まると見られています。
なぜ今、中古エアコンの需要が増えているのか
中古エアコン市場の拡大は、2027年問題が注目される以前から始まっていました。需要を押し上げている構造的な背景と、2027年問題がそこにどう重なるかを順番に見ていきます。
新品の品薄・価格高騰という構造的な背景
毎年6〜7月にエアコン需要がピークを迎えると家電量販店での供給が追いつかなくなる季節的な品薄に加え、主要材料である銅やアルミニウムの価格上昇が製造コストを押し上げていること、さらに円安による輸入部材の調達コスト増も新品エアコン全体の価格上昇につながっています。こうした複数の要因が重なり、新品と比べて初期費用を大幅に抑えられる中古エアコンへの注目が高まっています。
6〜8畳用のシンプルなタイプであれば、新品では6〜10万円程度の製品が中古市場では3万円前後で流通するケースも見られます。購入層も広がっており、新生活をスタートする単身者だけでなく、初期費用を優先する年金受給者層なども中古エアコンを選ぶ傾向があります。
2027年問題が中古需要をさらに後押しする理由
2027年以降に新品エアコンの価格が2〜3割上昇するという市場の見立てがある中で、高くなった新品の代替として中古エアコンを選ぶという動きが今後さらに広がると見られています。特に初期費用を重視する層にとっては、新品価格帯の大幅な上昇によって中古という選択肢の魅力が際立ちます。
下の図は、2027年問題が中古エアコン需要と買取業界にどう波及するかの構造を示したものです。

図2:エアコン2027年問題の市場波及構造出典:経済産業省公開情報をもとに編集部作成
一方で、2027年4月以降は新品の高額化によって買い替え控えが起こり、中古エアコンの供給が細るリスクも業界では懸念されています。需要が拡大する一方で仕入れ競争も激化しつつあるという、業界にとって複雑な側面も出てきています。
買取業界の今:大型家電・出張買取に注目が集まる背景
中古エアコンへの需要が高まるなか、リユース業界全体としても変化が起きています。市場規模の成長とエアコンの立ち位置、そして出張買取という働き方が注目される理由を確認します。
リユース市場全体の成長とエアコンの位置づけ
リユース市場全体は長期的な成長トレンドにあります。リユース経済新聞によると、2023年のリユース市場規模は約3.1兆円で、2009年以降14年連続で拡大しており、2030年には4兆円規模に達するとの予測もあります。物価高騰を背景とした節約志向の高まりや、中古品への抵抗感が薄れた世代の拡大が、この成長を後押ししています。
こうした市場の成長の中で、家電リユースにおいてエアコンは主力商材としての存在感を高めています。季節需要が明確で新品との価格差が大きく、流通量も多いエアコンは、リユース店舗にとって安定した売上を生みやすいカテゴリーです。
出張買取・大型家電買取が拡大している理由
エアコン需要の拡大にともない、リユース企業の中でも特に出張買取と大型家電の総合買取を強化する動きが広がっています。ここでは現場の実態とキャリアの観点から整理します。
出張買取とエアコンの相性
エアコンは取り外し・運搬に専門知識が必要な大型家電であるため、店舗への持ち込みではなく自宅まで引き取りに来てもらう出張買取との相性が非常によい商材です。近年、出張買取サービスを強化するリユース企業が増えており、大型家電を中心とした出張買取はエアコン需要の高まりとともに事業規模を拡大しています。
現場スタッフの仕事と身につくスキル
出張買取のスタッフは顧客宅を単独で訪問し、その場で査定・買取の判断をする場面も多いため、コミュニケーション力と商品知識が直接成果につながる仕事です。繁忙期にはさまざまなお宅を訪問する機会が増え、経験を重ねるほど目利き力が上がり、仕事の幅も広がっていきます。
現場では中古だと電気代が高くなるのではと不安を持つお客様と接する場面もあります。たとえば新品の省エネ上位モデルとの電気代差額は年間数千円程度で、初期費用を3〜5万円抑えられれば数年でトータルコストはむしろ安くなることもあるという説明ができると、お客様の納得度が大きく変わります。こうした現場で使えるトークは、業界知識を積むほど自然と身についていくものです。
資格取得とキャリアアップ
エアコンの取り外しや設置には第二種電気工事士などの資格があると対応できる範囲が広がりますが、未経験で入社した後に会社負担で資格取得をサポートしてくれる企業も多くあります。資格取得が給与や手当に反映される仕組みを持つ会社も増えており、キャリアアップの道筋が描きやすい職種です。
2027年以降、買取業界はどう変わるか
需要の拡大は業界にとって追い風である一方、仕入れや販売の現場にも新たな課題が生まれています。2027年以降に想定される変化を、仕入れと販売の両面から見ていきます。
仕入れ競争の激化と供給減リスクへの備え
中古エアコンの需要が拡大するにつれて、リユース事業者間での仕入れ競争も激しくなっています。古物市場での落札相場は上昇傾向にあり、円安の影響で海外勢も買い付けに参入していることから、安価に仕入れられる時期が少なくなりつつあります。2027年4月以降は新品の高額化によって買い替え控えが起こり、中古エアコンの供給が細るリスクも業界では懸念されています。
こうした状況を踏まえると、需要が高まっている今の時期に仕入れ力を強化し在庫を確保しておける事業者が有利になると見られています。大型倉庫を持つ規模の大きい企業ほど、安い時期に仕入れ・保管できるアドバンテージが大きくなります。転職先を選ぶ際の視点として、エアコン在庫の確保体制を持つ企業かどうかも参考になるかもしれません。
取付工事の需給ひっ迫と販売現場の変化
エアコンは購入後に取付工事が必要な商材であるため、販売スタッフには商品の提案だけでなく、工事のタイミングまで見通した提案力が求められます。夏の繁忙期に向けて早めに動くリユース企業も増えており、先を読んで動く力が自然と身につく仕事です。商品・工事・在庫という複数の要素を扱う経験は、業界内でのキャリアを広げる土台になっていきます。
まとめ:エアコン2027年問題が示す、買取業界の可能性
エアコン2027年問題は、新品市場にとっての制度変更であると同時に、中古・リユース市場にとっては需要拡大のきっかけになりうる出来事です。2027年4月以降は省エネ基準を満たさない低価格帯の新品エアコンが市場から消え、新品価格が2〜3割上昇するとの見方がある中で、初期費用を重視する層の中古需要はさらに高まると予測されています。出張買取や大型家電買取を強化するリユース企業が増えており、エアコンはその中心的な商材となっています。
仕入れ競争の激化や供給減リスクという課題もある一方で、業界全体としては専門知識と対応力を持つ人材の重要性が増していく方向にあります。こうした市場の変化は、リユース・買取業界への転職を考えている方にとって、業界選びの参考になるはずです。
『リユース転職』では、総合買取・出張買取への転職を検討している方の無料相談を受け付けています。未経験からスタートした方も多く、業界知識がなくても始められる環境が整っている企業を一緒に探すことができます。まずはどんな小さな疑問でも、お気軽にご相談ください。
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