1.5℃特別報告書
2018年10月に韓国で開かれたIPCC第48回総会で受諾されました。特別報告書とは、IPCCが気候変動に関連する特定のテーマに対して、科学的・技術的な評価を行うもので、本文とともに政策決定者向け要約が作成されます。作成には、40カ国・91名の執筆者、133名の執筆貢献者が関与しました。
正式名称は「気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な発展及び貧困撲滅の文脈において
工業化以前の水準から1.5℃の気温上昇にかかる影響や関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)
排出経路に関する特別報告書」です。
COP21にて特別報告書の提供要請がIPCCにされたことが作成の経緯でした。2015年のパリ協定で、地球温暖化を2℃できれば1.5℃以下とすることが合意されており、当時、1.5℃という値は、途上国などへの配慮によるものでした。以下の内容が含まれた本書は現在の世界的な脱炭素の機運を高めたといわれています。
・気候変動は、既に世界中の人々、生態系及び生計に影響を与えている。
・工業化以降、人間活動は約1.0℃の地球温暖化をもたらしている。
・現在の進行速度では、地球温暖化は2030~2050年に1.5℃に達する。
・地球温暖化を1.5℃に抑制することは不可能ではない。しかし、社会のあらゆる側面において前例のない移行が必要である。
・CO2排出量が2030年までに45%削減され、2050年頃には正味ゼロに達する必要がある。メタンなどのCO2以外の排出量も大幅に削減される必要がある。
・地球温暖化を2℃、またはそれ以上ではなく1.5℃に抑制することには、明らかな便益がある。
・地球温暖化を1.5℃に抑制することは、持続可能な開発の達成や貧困の撲滅等、気候変動以外の世界的な目標とともに達成しうる。
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