中古品取引の進化|成長するリユース市場とオークションの仕事
2025.01.08
オークションは単なる取引の場にとどまらず、リユース市場全体の成長を支える重要な役割を果たしています。リユース市場に新たな可能性をもたらしています。今回はオークションがリユース市場に与える影響や、オークションを支える仕事、今後の展望について詳しく解説します。
目次
業者間オークションとは?仕組みと特徴
個人間で中古品の売買を行う場が、「ヤフオク」を代表するインターネットオークション、もしくは「メルカリ」を代表するフリマアプリです。
個人間ではなく、業者間で中古品の売買が行われているのが、業者間オークションです。古物市場(こぶついちば)とも呼ばれています。
市場(いちば)というと、野菜市場や鮮魚市場の競りの様子をイメージする方もいらっしゃるかと思います。
一方、オークションというと、サザビーズやクリスティーズなどの高級品やアート作品を扱う世界的なオークションをイメージする方もいるかもしれません。
ことばの整理がまだ必要なのが現状ですが、今回は中古品の業者間でやり取りをされているオークション=業者間オークションについて、ご紹介をしていきます。
まずオークションに参加するには個人にしろ、法人にしろ、「古物商」を保有していることが前提です。また、各社のオークション会員になることが必要です。
これまで業者間オークションは、現物をその場で確認して競りを行うリアルでの開催(手競り形式)が主体で運営されてきました。しかし、コロナ禍を機にリアルでの開催が困難になったことで、オンライン開催に舵を切った企業も多くなりました。現在の業者間オークションでは、リアル開催とオンライン開催が入り混じっています。
リアル開催のオークション(手競り)とは
リアルでのオークションでは、振り師の発声をスタート金額とし、出品物の希望落札額をバイヤーが発声していきます。オンラインと比較してリアルオークションの場合は、商品の状態や真贋を自分の目で確かめられる点や、一日でその場で仕入れが完結するといったメリットがあります。
一方、聞き取りやすいように大きな声で発声する必要があり、スタート金額を下回る値を指すのは厳禁でであったり、他の参加者の希望落札金額を聞いた後に、遅れてそれを上回る金額を声に出して指すのもマナー違反という暗黙のルールが存在します。席順も決められている場合が多く、最前列に座っているのは取引量の多い業者となります。こでまで新規参入者は事務局に運営方法を確認して、いくつかのオークションを回りながら参加しやすいオークションを見つけていく必要があります。こうした方法は少し参加ハードルが高いと感じられてきました。
広がるオンラインオークション、そのメリットとは
オンラインオークションは、パソコンやスマートフォンで、入札金額を入力したり、入札ボタンを押して競りに参加します。どんな商品が出品されているか、商品のコンディションや状態はどうなのか等は出品リストや撮影角度が異なる写真が複数枚用意されていますので、事前にオンライン上で確認することができます。
バイヤーが会場に行かなくていいことや、画像で好きな時間に下見ができるといったメリットがあり、リアルでの開催と比べると初心者でも参加のハードルが低いため、個人事業者や海外バイヤーが参加しやすくなりました。
オンラインオークションの場合、競りの方式は大きく分けて「リアルタイム方式」と「入札方式」があります。入札方式は事前に金額を決めておくことができるので、リアルタイムの参加が難しい方や海外バイヤーにとってとても便利な仕組みとなっています。
※「オンラインオークション」というと、ヤフオクやebayをイメージさせる方も多いのですが、ヤフオクやebayはBtoCでの売買がメインであり、中古品に限定されていないことがあります。
リユース市場の成長とオークションの役割
リユース市場は現在、急速な成長を遂げています。2023年の市場規模は約3.1兆円、2030年には4兆円に達すると予測されています。この成長の鍵を握るのが、オークションという新しい取引形態です。オークションは単なる販売方法ではなく、リユース市場での商品流通を活性化させるなどの重要な役割を担っています。
中古品のオークションでは様々な物が取引されています。
・ブランド品
・宝石、ジュエリー
・時計
・アパレル・衣類
・骨とう品
・道具
・家具
・家電など
ほとんどの場合、オークションごとに商材を専門的に分けて取り扱いが行われています。
プロバイヤーによると、時計関連のオークションだけでも全国で100以上は開催があるとのことです。
オークションの役割には主に以下の4つがあります。
1. 在庫回転率の向上
リユース・買取企業が買い取った商品を、オークションを通じて迅速に業者間で売却できるため、滞留在庫を減らし、キャッシュフローを改善します。多くのプロバイヤーが集まる場で取引されるため、商品が適正価格で流通しやすくなります。
2. 市場の透明性の向上
オークションは商品価値を競りによって明確にすることで、市場の透明性を高めます。
参加者が入札を通じて価格を決定するため、公平性が担保されます。
市場需要に基づいた価格が設定されることで、買い手と売り手双方にとって納得のいく取引が可能です。
3. 専門市場の形成
オークションは商品のカテゴリや専門性に応じた市場を形成します。
ブランド品、宝石、骨董品、家具など、商品カテゴリごとに特化したオークションが運営されており、それぞれの専門分野での取引が活発に行われています。
オンライン化により、国際的な取引も増え、リユース市場の拡大に貢献しています。
4. 事業者間のネットワーク構築
オークションは、事業者間の取引だけでなく、ネットワークを広げる場としても重要です。
業者同士が集まり、取引以外にも情報交換や提携の機会が生まれる場となっています。
オンラインオークションの普及により、個人事業主や新規事業者も参入しやすくなっています。
オークション運営の舞台裏:仕事内容と業務フロー
1回のオークションで取引される点数は3000点~1万点ほど。取り扱う商材や事業者の規模によって異なります。
オークション運営の流れとしては以下のようになります。
到着した荷物の確認とリストとの突合
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商品の検品、撮影、入力
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オークションの会場設営 (下見がある場合)
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下見期間の顧客対応
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当日のオークション運営、売上管理
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商品の梱包、発送
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返品対応や振込対応
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次のオークションの荷物が集まる
月に2回~4回程度を開催しているなど、開催頻度も運営事業者によって異なりますが、
上記の流れをある程度決まったルーティンで作業していくことが多いです。
オークションの運営業務では、商品の持ち運びや会場設営など、身体を使った作業もあります。一方、オークション後には取引先との商材交渉などもあるため、力仕事だけでなく頭も使う仕事です。先を見据え、問題が起きないように自ら動く力が求められます。
検品、撮影や会場準備などはアルバイトや契約社員として関わっているスタッフも多いため、正社員はそうしたメンバーのマネジメント、シフト管理、全体のスケジュール管理なども担います。
オークションを支える人材:職種とスキル
オークションに関わる仕事にはどのような職種があるのでしょうか。
・バイヤー
市場で仕入れを行う人を「バイヤー」といいます。オークションに参加する側の仕事です。
リアルでの開催の場合、最前列にいるバイヤーはオークション事業者にとっては大きな取引先となります。逆にオンライン開催ではそうした優劣がつきにくいため、新規参入業者や、海外のバイヤー、個人事業主なども参加をしやすくなりました。
・振り師
市場で商品を提示して落札者を決める人を「振り師」といいます。振り手(オークショニア)とも呼ばれています。
商品を見ただけで、相場が瞬時に判断する高い経験とスキルが必要な職種で限られた人材しか携わることができない仕事になっています。振り師はオークション運営企業内の人材が抜擢されるため、一般的な求人で出てくることはほとんどないでしょう。
・オークション運営スタッフ
オークションを支えるのに欠かせないのが、「オークション運営スタッフ」です。検品作業、データ入力作業、梱包・発送などを行います。
下見期間やオークション当日は来客する顧客の対応サポートや、会場の設営などが発生する場合もあります。専門的に多くの品物に触れることができるため、貴重な現場経験を積むことができます。
検品とは、商品のコンディションをチェックすることです。生産性の高い検品作業の実現や、作業の効率化を図ることで、よりオークションの質を上げていくこと、業績に貢献することができます。
1回のオークションの出来高(売上)が大きいことや、リアル開催の場合はお祭りのような雰囲気で盛り上がるため、毎回、達成感を感じることもできます。
単発の契約社員募集や、商品の撮影・発送をメインにしたアルバイトスタッフ募集などもあります。
・オークション営業スタッフ(法人営業)
立ち上げフェーズのオークション運営企業の場合、営業スタッフを募集していることもあります。オークションに参加していただく新規会員獲得のための営業活動を行います。既存客との定期的な情報交換や、課題解決を通じた関係構築なども発生します。
未来を切り拓くオークションの可能性:技術革新と新たな展望
2020年以降、リユース大手企業は、いずれもオークション運営事業を手掛けるようになりました。中堅企業も業務提携や共同運営、買収などによってオークション運営事業を手掛ける企業が増えています。理由は、自社で買い取った商品の在庫回転率を上げるためです。滞留在庫になる前に、オークションで業者に売ってしまうことで、利益が出やすくなるといったメリットがあるためです。
そこからこの3~4年で、オークション事業は商材への特化や規模の拡大を図るなど差別化をはかっています。ハードルが高いとされてきた手競りオークションを初心者向けに開催する企業も出てきています。新規事業としてこれから立ち上げを考えている企業もおり、今後さまざまなオークションが乱立していくため、競争も激化していくことが予想されます。それでも、このオークションの事業を持つ企業は、リユースビジネスにおいて強みとなることは間違いありません。
オークションのあり方は進化を続けているため、参加する側にとってはオークション選びが重要です。自分(自社)にあったオークションを見つけることが重要な時代となっています。
今後のオークションの未来予測はどのようなものがあるのでしょうか。個人事業主や海外バイヤーの参加が増えてグローバルなプラットフォームになっていくことが予想されます。また、AI技術やデータ分析が活用され、市場価値評価やトレンド予測などが会員に還元されていくということが考えられます。
適正価格設定・AIによって過去データから適正価格を算出することで、売り手と買い手双方にとってメリットがあります。このような技術革新は、リユース市場全体を活性化させていくことが予想されます。
まとめ
現在、オークション事業者は、出品数が増えていることから人員を募集しているフェーズにあります。リユース買取業界に入りたい・興味があるけど、経験がないから、、と思っている方にはぜひオススメしたいお仕事です。買取店で見る物量よりも、扱う物量がかなり多いので、間違いなく仕事をしながら、モノの価値を見極める目は養われます。
みんなで協力して作り上げるのが好きという方や、自分のアイディアで効率よく仕事を進めていきたい方、モノの価値を見極めるスキルを手に入れたい方などに向いていると思いますので、ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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