リユース業界の将来性は?市場動向や成長のポイントを解説
2025.02.06

近年、リユース業界は急速に成長し、市場規模も拡大しています。インフレによる物価上昇や環境意識の高まりにより、中古品の需要が増加し、企業も積極的に参入しています。本記事では、リユース業界 の将来性をテーマに、市場動向や今後の展望、成長のポイントを解説します。また、業界の課題やチャンス、働く上でのキャリアの可能性についても詳しく紹介します。
目次
リユース業界の現状と市場動向
リユース業界は近年、持続可能な社会の実現に向けた動きの中で注目を集めています。消費者の購買行動の変化や、企業の参入などが業界の成長を後押ししています。
リユース市場は約3兆円規模に到達
リユース市場は統計開始から14年連続で拡大を続けており、2023年時点で約3兆円規模に達しました。
サステナブルな消費行動を重視する消費者が増えたことや、フリマアプリやECサイトの普及による個人間取引の増加が市場成長を後押ししています。また、インフレによる物価上昇の影響で、新品ではなく中古品を選択する傾向が見られます。
政府の循環型社会形成推進基本計画により、リユースやリペアを促進する政策も市場成長を後押ししています。サーキュラーエコノミーの取り組みが進められ、企業と自治体が連携した実証実験を行うなど、民間もこうした流れに対応したビジネスモデルを構築しています。
参照:第五次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント) の結果について
若い世代の消費者ニーズの変化
環境意識の向上により、サステナブル消費が広がっています。特に若年層を中心に中古品を積極的に活用する動きが見られ、ファッションや家電製品をリユースする文化が定着しつつあります。さらに、サブスクリプション型のリユースサービスが進むことで、消費者にとってリユースがより身近な選択肢となっています。
コストパフォーマンスを重視する消費傾向が強まり、低価格で質の良い中古品を選択する消費者が増加しています。特にブランド品や高級家電などは、新品よりもリーズナブルな価格で手に入るため、中古市場での需要が拡大しています。
価格だけでなく、SNSやインフルエンサーの影響もあり、古着やヴィンテージ品が注目されています。「新品にこだわらず、おしゃれで賢い買い物をする」意識が広がっているのも特徴です。
異業種からのリユース市場参入が増加
近年、リユース市場にはファッション、家具、家電業界を中心に異業種の大手企業が続々と参入しています。ユニクロは「RE.UNIQLO」というリユース・リサイクルプロジェクトを展開し、使用済み衣料の回収・再販を積極的に進めています。また、無印良品は「ReMUJI」として自社商品のリユースを推進し、エコ意識の高い消費者の支持を集めています。
その他、家電量販店では中古家電の買取・販売を強化し、スポーツ用品メーカーも中古品のリユースプログラムを導入する動きが加速しています。これにより、リユース市場の信頼性が向上し、さらに多くの消費者が中古品を選択する流れが生まれています。
リユース業界の成長を支える要因
リユース業界は、国内外のさまざまな要因によって成長を続けています。ここでは、国内市場の成長を支える主な要因を解説します。
国内の潜在需要は66兆円規模
現在3兆円規模のリユース市場ですが、潜在需要は66兆円に達すると言われています。メルカリ社が実施した「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”」に関する調査によると、日本全国の家庭に眠る「かくれ資産」は国民1人あたり平均53.2万円、1世帯あたりで約110.6万円となり、総額は推計「66兆6772億円」に上るということです。
※かくれ資産とは、1年以上使用しておらず、理由なく家庭内に保管している不要品を金額換算した数値です。
今後、リユース未経験の消費者や企業の市場参入が進めば、更なる成長が期待されます。
シニア世代のモノの流通増加
日本の高齢化が進む中、終活・生前整理の需要が拡大しています。シニア世代が手放すブランド品や骨董品、家財道具などがリユース市場に流入し、新たな商機が生まれています。
特に、空き家の増加に伴い、不動産整理や遺品整理と連携したビジネスが成長しており、大型家具やアンティーク品の市場も拡大しています。今後、シニア層の資産整理が一層進むことで、リユース業界の成長が期待されます。
デジタル活用で効率化が進む
フリマアプリやECサイトの発展により、消費者がより簡単に売買できる環境が整っています。
また、AIによる自動査定システムが精度を増し、査定士の負担軽減や人材不足の解消につながっています。
デジタル技術の導入により、査定・在庫管理の効率化が進んでいます。今後もRFID(電子タグ)を活用した在庫管理の自動化や、ブロックチェーンを活用した商品の真正性保証など、デジタル技術の活用がさらに広がると、市場の信頼性向上と効率化が進むことが予想されます。
海外の需要拡大で販路が広がる
日本の中古品は品質が高く、アジアや欧米での需要が増加しています。特に、中国や東南アジアでは日本の中古ブランド品や家電、時計、フィギュアなどの人気が高いです。インバウンド需要も高まっていますが、現地のECプラットフォームや越境ECを活用した販売も活発になっています。今後は、国ごとの規制や税制を考慮しながら、物流網を強化することでさらに販路を広げる企業が増えると予想されます。
リユース業界の成長に伴う課題とチャンス
リユース業界の急成長に伴い、新たな課題とビジネスチャンスが生まれています。ここではさまざまな観点から課題とチャンスを解説しています。
市場競争が活発化し、サービスの質が向上
競争が激化する中、企業は独自のサービスを開発し、消費者の満足度を向上させる取り組みを強化しています。オンラインオークションや宅配買取、出張買取など、多様なサービスが提供されています。
また、専門性を持ったリユースサービスの台頭も顕著です。例えば、ブランド品専門の買取サービスや、家電専門のメンテナンス付き中古販売など、特化型のリユース企業が増えています。これにより、消費者は安心して中古品を購入・売却できる環境が整いつつあります。
法令遵守が業界の信頼性向上につながる
リユースビジネスには、古物営業法や消費者保護法の適用があります。法令を遵守することで、安心・安全な取引が可能となり、消費者の信頼を獲得できます。
さらに、偽造品の流通防止のためのブロックチェーン技術や、取引の透明性を向上させる仕組みが導入され始めています。これにより、正規品の流通が保証され、リユース市場の信頼性がより高まっています。
人材需要がキャリアチャンスを生む
リユース市場の拡大に伴い、査定士・買取営業・EC運営などの職種の需要が高まっています。未経験者でも挑戦しやすい研修制度や社内環境が整いつつあります。
特に、AIを活用した査定システムや在庫管理の自動化が進むことで、データ解析やマーケティング分野の専門人材への需要も高まっています。また、越境ECの成長により、海外向けの取引に対応できる人材の確保も重要になってきています。
デジタル化が進み、働きやすさが向上
AIを活用した在庫管理の導入により、業務負担の軽減や品質保証の強化が進んでいます。これにより、業界全体の働きやすさが向上しています。
また、IoTを活用したスマートロジスティクスや、リアルタイムで商品の状態を確認できるシステムの導入が進んでおり、業務の効率化が一層加速しています。こうしたデジタル技術の進化により、従来の労働集約型ビジネスから、より高度な管理・運営が可能な市場へと変化しています。
リユース業界の将来性と今後のキャリアの可能性
リユース業界は今後の将来性が見込めることがよく分かりましたが、実際にキャリアとして歩む場合はどのような可能性があるのでしょうか。ここではリユース業界の将来性とキャリアとしての可能性を解説します。
2030年に向けたリユース市場の成長のカギは?
リユース市場は、2030年までに4兆円規模へと拡大すると予測されています。さらに、サーキュラーエコノミーとの連携により、新たなビジネスモデルの開発が期待されています。
大手企業のリユース部門の拡大や、デジタル技術の発展により、新しい市場機会が創出されています。特に、AIやブロックチェーンを活用した真贋の向上や、モノの価値を再定義したアップサイクル事業が今後の成長を牽引する要因となるでしょう。
リユース業界でのキャリアアップの可能性
リユース業界では、査定士・EC運営・買取営業などの職種が需要の高まりを見せています。また、バイヤーやマネジメント職、海外事業への展開など、キャリアアップの選択肢も豊富です。
さらに、デジタル技術の進化に伴い、データ分析やマーケティング、カスタマーサポートといった新しい職種への需要も増加しています。特に、越境ECやグローバル物流の発展により、海外向けのリユース事業の専門職も求められています。
また、リユース業界は未経験からの参入がしやすい特徴があり、研修制度を充実させる企業も増えています。新しい技術を活用した効率的な業務プロセスが整備されることで、柔軟な働き方やキャリアアップの機会が増えていくでしょう。
まとめ
リユース業界は、環境意識の向上やEC市場の拡大を背景に、今後も持続的な成長が見込まれる分野です。消費者ニーズの多様化に対応し、デジタル技術を活用した効率的なビジネスモデルの構築が求められています。
市場の拡大に伴い、適切な販路の確保や法規制の順守、顧客満足度の向上が重要になります。また、AIによる査定の自動化や越境ECの進展など、テクノロジーの導入が業界の成長を後押しするでしょう。
キャリアの面では、査定士・買取営業・EC運営といった職種の需要が高まり、未経験者でも挑戦しやすい環境が整いつつあります。今後は、サーキュラーエコノミーとの連携が進み、新たな市場機会が生まれることで、ビジネスの可能性も広がるでしょう。
持続可能な社会の実現に向けて、リユース業界はますます重要な役割を果たしていくことが期待されます。
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リユース業界は14年連続成長、市場規模も3.1兆円に。フリマアプリによって物を売買することが普及し、SDGsへの意識の高まりから消費トレンドが変革。今後も買取・リユースの需要は増していきます。
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