古着屋の仕事はきつい?現場のリアルと活躍する人の特徴
2025.04.27

古着屋で働くことに憧れを持つ方は少なくありません。
好きなファッションに囲まれて働けることや、おしゃれな空間で自分らしさを発揮できることに魅力を感じる人も多いようです。
しかし、実際の現場では「思っていたよりきつい」と感じることもあります。接客や品出しといった基本業務に加え、SNSの運用や買取査定など、想像以上に幅広い業務を任されることが多いためです。
とはいえ、リユース業界の成長やサステナブルな価値観の広がりとともに、古着の魅力が再注目されている今、やりがいを持って働く人も増えています。
この記事では、古着屋の仕事のリアルな一面と、リユース業界ならではのやりがいや将来性について、わかりやすくお伝えします。
古着屋の仕事はなぜ「きつい」と言われるのか?
古着屋の仕事には、「おしゃれで楽しそう」といった華やかなイメージを思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど、実際に働いてみると、体力的にも精神的にも負担を感じる場面が意外と多く、ギャップを覚える人もいます。
とくに、店舗運営では商品の搬入や整理、接客対応に加えて、ときにはクレーム対応などに向き合う場面も出てきます。立ちっぱなしの作業が続くため体力が必要になるほか、接客では細やかな気配りや対応力も求められます。
さらに最近では、SNS投稿やオンラインショップの運営など、デジタル領域の仕事も増えています。販売にとどまらず、広報や企画のような役割を担うこともあり、求められるスキルがどんどん広がっているのが実情です。
こうした現場の実態を知っておくことは、転職を検討するうえでも重要なヒントになります。イメージだけで決めるのではなく、リアルな働き方を知ることが、自分に合った職場選びにつながっていきます。
体力的にきついって本当?
古着屋の仕事は、想像以上に体を使う場面が多くあります。商品の仕入れや搬入、売り場のレイアウト変更、レジ対応など、一日を通して動き回ることが多く、自然と立ち仕事が中心になります。
とくに慣れないうちは、長時間の立ちっぱなしや重たい段ボールの持ち運びに負担を感じやすいかもしれません。さらに、店舗によってはスタッフの人数が限られていることもあり、一人ひとりの業務量が多くなることもあります。
また、セールや季節の変わり目などの繁忙期には、休憩を取りにくい日が続くこともあります。体力に自信がないと、日々の疲れがたまりやすくなることもあるため、体調管理も仕事の一部といえるでしょう。
ただし、こうした環境のなかでも、自分のペースで働ける店舗や、無理のないシフトを組んでくれる職場もあります。体力面に不安がある方は、求人情報や面接時に働き方について確認しておくと安心です。
商品搬入や納品作業は意外と重労働
古着屋では、商品を1点ずつ手作業で扱うことが多く、裏方の作業も想像以上に体力を使います。入荷したアイテムは段ボール単位で届くことが多く、衣類がぎっしり詰まった箱は、見た目以上に重さがあります。
とくにアウターやデニムなど、厚手で重量のある商品を多く扱う日は、搬入や検品だけでも体に負担がかかりやすくなります。作業スペースが限られている店舗では、かがんだり体をひねったりと、無理のある姿勢が続くこともあるため、体調管理の意識も大切です。
こうした作業は、売り場に商品を並べるために欠かせない工程であり、丁寧さとスピードの両方が求められます。
表からは見えにくい業務ですが、売上やお客様の満足度にもつながる大切な仕事です。黙々と作業することが好きな方や、細かいチェックを丁寧にこなすのが得意な方には、やりがいを感じられる場面かもしれません。
立ち仕事が多く、長時間勤務が当たり前
販売スタッフの業務は、開店から閉店まで基本的に立ったまま進めることが多く、接客や売り場の整理、レジ対応などを常に行うことになります。
とくにセール期間やイベント時は来店数が増え、閉店後の片付けやレジ締めなどで帰りが遅くなる日も出てきます。慣れるまでは足腰に負担を感じやすく、疲れがたまりやすくなることもあるかもしれません。
だからこそ、日々の体調管理や、無理のない働き方を意識することが大切です。少しずつ自分のリズムをつかめるようになれば、体力的な不安も和らいでいきます。
精神的にもプレッシャーがあるのか?
古着屋の仕事は、体力だけでなく気持ちの面でも粘り強さが求められる場面があります。商品は一点物が多く、限られた在庫のなかでどのように魅力を伝えて売り上げにつなげるか、工夫することが大切です。
接客や在庫管理、ディスプレイの変更など、さまざまな業務を同時に進める日もあり、集中力が必要になる場面もあります。とくに人気のある店舗や来客の多い大型店では、スピード感と丁寧さのバランスが求められることもあり、緊張感のある場面が続くこともあります。
慣れるまでは大変に感じることもあるかもしれませんが、ひとつひとつの業務を通じて少しずつ成長を実感できる仕事でもあります。
ノルマのある店舗では売上プレッシャーも
チェーン展開している古着屋のなかには、月ごとや週ごとに売上目標を設定している店舗もあります。たとえば、「今週はアウターを◯点販売」「1ヶ月で売上◯万円を達成」といった具体的な数値が目標として掲げられるケースもあります。
中には、毎週末にスタッフ同士でミーティングを開き、「このブランドのジャケットがよく売れそう」「SNSで紹介したアイテムの反応が良かった」といった情報を共有しながら、チームで目標達成に向けて工夫している店舗もあります。
また、新人スタッフが先輩の接客スタイルを参考にしながら、自分なりの声かけや提案を試してみるなど、スキルアップを応援する雰囲気づくりを大切にしているところもあります。売上の数字だけでなく、その取り組み方や努力もきちんと見てもらえる環境であれば、未経験からでも安心してチャレンジできるはずです。
特に来店数の多い都市部の店舗では、売上への意識が高まりやすい傾向がありますが、目標をスタッフ全員で共有しながら支え合える環境があれば、前向きな気持ちで取り組むことができます。
接客対応やクレーム対応で疲弊することも
古着は一点ごとに状態が異なるため、商品の価値やコンディションについて分かりやすく説明する力が求められます。たとえば、「このシャツにはヴィンテージ特有の色あせがあります」「タグにほつれがありますが着用には問題ありません」といったように、細かい状態を丁寧に伝えることが、お客さまの安心につながります。
購入後に「サイズが思ったより小さかった」「届いた服にシミがあった」などのお問い合わせが入ることもあり、落ち着いて対応する力が必要になる場面もあります。
ときには、理不尽に感じる内容のクレームに接することもありますが、誠実に話を聞き、ていねいに対応することで、またこの店で買いたいと思ってもらえる信頼につながっていきます。
はじめのうちは言葉選びや対応に戸惑うこともあるかもしれませんが、経験を重ねるうちに少しずつ自信が持てるようになり、安心して接客できるようになります。
古着屋の仕事にはどんなやりがいがある?
古着屋の仕事は、体力面や気持ちの面で大変な部分もありますが、その中でもやりがいを感じられる瞬間が多くあります。
とくにファッションが好きな方や、人と接するのが好きな方にとっては、自分の感性やセンスを活かせる職場です。たとえば、入荷した古着の中から今のトレンドに合うアイテムを選んでディスプレイを工夫したり、お客さまの雰囲気に合わせてコーディネートを提案して喜ばれたりと、自分の提案が目に見えるかたちで伝わる楽しさがあります。
最近では、SNSやECサイトを使って商品の魅力を発信する機会も増えています。たとえば、Instagramでおすすめコーデを投稿したところ「この服が気になってお店に来ました」と言ってもらえることも。こうした反応がダイレクトに返ってくることで、自分の発信が誰かに届いたという手ごたえや成長を感じられる仕事でもあります。
お客さんとの関係構築が楽しいって本当?
古着屋の仕事では、ただ商品を販売するだけでなく、お客さまとの会話や提案を通じて、信頼関係を築いていく場面が多くあります。
たとえば、スカートに合わせるトップスを相談されたとき、自分の知識をもとにスタイリングを提案し、「参考になりました」と笑顔で声をかけてもらえると、大きなやりがいを感じられるはずです。さらに後日、そのお客さまが再び来店し、「また相談したくて来ました」と言ってくれたときには、接客の楽しさを実感できる場面にもつながります。
こうしたやりとりのなかで生まれる関係性には、古着屋の仕事ならではの魅力があります。
常連客とのコミュニケーションが生む信頼関係
古着屋では、好みのテイストやブランドがはっきりしている常連のお客さまと、自然なやりとりが生まれることがあります。
「こんなアイテムが入ったら教えてほしい」と声をかけてもらえたり、名前を覚えてもらったりと、少しずつ信頼が育っていくような感覚を味わえるのもこの仕事の魅力です。
なかにはスタイリングをお任せいただけるようになることもあり、長く続けるほどに生まれるつながりは、接客業ならではのやりがいのひとつといえます。
SNSで自分のコーデや知識を発信できる場も
最近では、店舗の公式SNSやスタッフのアカウントを通じて、コーディネートやおすすめ商品を発信する機会も増えています。
自分のスタイルや知識を投稿することで、共感してくれるフォロワーが増えたり、お店に興味を持ってもらえたりすることもあります。反応がすぐに返ってくるため、発信する楽しさや手ごたえを感じやすいのも魅力のひとつです。
こうした発信を通じて、自分自身の発信力や影響力が認められることもあり、やりがいを感じる場面が広がっていきます。
成長市場でのキャリアパスはある?
リユース業界はここ数年で大きく成長しており、古着屋での経験をきっかけに、キャリアの選択肢が広がっているのも特徴です。
店舗運営やバイヤーといった現場の仕事に加え、オンラインショップの運営や海外市場とのつながりを深める仕事など、活躍できるフィールドはどんどん広がっています。
働き方が多様になる今、自分らしいキャリアを描くうえでも、古着屋で培った接客力や感性はしっかりと活かせる土台になります。
リユース市場拡大とともにキャリアの選択肢が広がる
環境への意識が高まるなか、古着をはじめとしたリユース市場は国内外で注目を集めており、業界全体が成長を続けています。
こうした中で、現場の経験を活かしてキャリアを広げていく人も増えています。たとえば、商品の仕入れルートを学びバイヤー職へステップアップしたり、販売スタッフから店長として店舗のマネジメントを任されるようになるケースがあります。店内ディスプレイやSNSの運用経験を活かして、販促企画やブランディングを担当するポジションに進むこともあります。
リユース業界では、職種の垣根が比較的柔らかく、販売の仕事からスタートしても、その先に広がる選択肢は多彩です。ゆくゆくは本部勤務や新規事業に関わるポジションを目指す人にとっても、成長の余地がある業界といえます。
海外バイヤーやオンラインショップ運営への道も
語学力や古着を見る目を活かして、海外のマーケットから直接商品を仕入れる海外バイヤーとして活躍する人もいます。アメリカやヨーロッパ、アジアなど、世界中のトレンドやニーズに触れながら仕事ができるのは、古着業界ならではの魅力です。
また、店舗での販売経験をベースに、ECショップの運営に携わる道も広がっています。オンラインでの接客や商品紹介、SNSを活用した販促などに取り組むなかで、自分でネットショップを立ち上げたり、他社のEC事業に携わるようになるケースもあります。
このように、現場での経験を積み重ねながら、自分の得意分野を伸ばしていける柔軟な働き方ができるのも、リユース業界ならではの面白さです。
「きつさ」を乗り越えるための工夫とは?
古着屋で感じやすい「きつさ」は、働く環境や自分なりの工夫次第で、少しずつ和らげていくことができます。
大切なのは、自分に合った働き方や職場を見つけること。無理を重ねずに、長く続けられる環境を選ぶことが、心身のゆとりにもつながります。
リユース業界はこれからも成長が期待されており、教育体制が整っている店舗や、デジタル・海外に強みを持つ企業など、特徴のある職場も増えています。自分の価値観や将来の方向性に合った場所を選ぶことで、働きやすさも自然と感じられるようになるはずです。
職場選びで注目すべきポイントは?
求人情報を見るときは、「おしゃれな雰囲気」だけで決めるのではなく、働きやすさにつながる実務面にも目を向けておくと安心です。
たとえば、ノルマがあるかどうか、教育体制が整っているか、スタッフ同士がどのように連携しているかなど、職場の雰囲気やサポート体制は、日々の働きやすさに大きく関わってきます。
ノルマの有無、教育体制、スタッフの雰囲気
ノルマが厳しい職場では、日々の売上に強いプレッシャーを感じてしまい、思うように成果が出せないと落ち込んでしまうこともあります。たとえば「週に何点以上販売」といった個人ノルマが細かく設定されている店舗では、慣れないうちはプレッシャーになりやすいかもしれません。
一方で、教育体制がしっかり整っている店舗では、マニュアルが用意されていたり、先輩が新人にマンツーマンで仕事を教える体制がある場合もあります。新人スタッフが「最初の1か月は接客ではなく品出しからスタート」といった段階的な研修を受けられる職場であれば、未経験からでも無理なくスタートできます。
スタッフの雰囲気も重要なポイントです。たとえば、接客中でもスタッフ同士が自然に声をかけ合っていたり、忙しい時間帯にサポートし合う様子が見られる職場では、協力体制ができていると考えられます。
見学や面接の際には、こうした現場の空気感やスタッフの立ち居振る舞いにも注目してみてください。自分にとって心地よく働ける環境かどうかを見極める手がかりになります。
デジタル活用や海外志向の店舗は将来性大
SNSの運用や海外向けのEC販売(越境EC)に力を入れている古着屋では、販売業務にとどまらず、幅広い仕事に関わるチャンスがあります。
たとえば、Instagramでのスタイリング投稿をスタッフが担当していたり、公式ECサイトの商品ページ用にコーディネート写真を撮影・編集する役割を任されることもあります。海外向けの発送を行っている店舗では、英語での簡単な問い合わせ対応や、サイズや素材に関する説明文を翻訳する業務がある場合もあります。
こうした店舗では、日々の接客とあわせて「発信力」や「語学力」を活かせる場面が多く、自分の得意な分野を伸ばしやすい環境が整っています。
将来的にネットショップを開きたいと考えている方や、海外とのつながりのある仕事に興味がある方にとっては、現場で経験を積みながら視野を広げていける貴重なステップになります。
長く働き続けるためのコツは?
古着屋で働く魅力を感じていても、体力面や気持ちの負担によって、続けるのが難しく感じることもあります。
だからこそ、自分のペースを大切にしながら、無理のない働き方を工夫していくことが、長く続けるためのポイントになります。
やりがいを感じるポイントを大切にしながら、適切に休息をとり、働き方を見直すことも長期的な視点では欠かせません。
自分の「好き」を軸にキャリアを考える
古着が好き、人と話すのが楽しい、コーディネートを考えるのが面白い。そんな気持ちは、古着屋で働くうえで大きな支えになります。
たとえば、90年代のストリート系が得意なスタッフが、その知識を活かしてお客さまにアイテムを提案し、会話が弾んだ結果リピーターになってもらえたということもあります。ナチュラル系やミリタリー、モード系など、自分が関心を持てるジャンルがあると、自然とアイテム選びやおすすめにも自信が持てるようになります。
「好き」という気持ちを出発点に、自分なりの強みを見つけて育てていくことで、やりがいと成長を両立できる働き方につながっていきます。
体力管理やストレスケアも重要
忙しい日が続くと、体に疲れがたまったり、気持ちが張りつめたままになったりして、知らないうちに無理を重ねてしまうことがあります。
そうならないためにも、たとえば通勤を少し歩くようにしてみたり、栄養バランスを意識した食事を心がけたりと、日常の中で無理なくできる工夫を取り入れていくことが大切です。
また、仕事終わりに好きな音楽を聴いたり、短い時間でもカフェで一息つくなど、気持ちを切り替える時間を持つことも、心のリフレッシュにつながります。
体と心の調子を整える習慣を少しずつ積み重ねていくことで、無理せず働き続けられる土台をつくることができます。
まとめ
古着屋の仕事は、一見華やかに見える一方で、体力的にも精神的にも大変だと感じる場面があります。ですが、その背景を知っておくことで、自分に合った働き方や向き合い方が見えてくるはずです。
リユース市場は今もなお成長を続けており、デジタルや海外への広がりとともに、働き方やキャリアの選択肢もどんどん増えています。店舗での接客や仕入れ、EC運営や発信など、自分の得意なことを活かせる場面はきっと見つかるはずです。
「古着が好き」「人と話すのが好き」そんな気持ちを大切にしながら、無理なく続けられる職場との出会いを通じて、前向きに働き続けられる未来をつくっていくことができます。