「太陽光パネル大量廃棄問題」と、解決策としての太陽光パネルのリユース・リサイクルについて
2024.03.11
リユースというとブランド品や家具・家電などの買取や中古品の販売を連想する方も多いかと思います。環境や循環型社会、サーキュラーエコノミーの実現を目指す中で、太陽光パネルのリユースやリサイクルが注目されています。今回は、太陽光パネルのリユースやリサイクルがなぜ注目されているか、その理由についてご紹介します。
◆リユース・リサイクルのひとつに「太陽光パネル」!?
太陽光パネルとは、太陽光を電気エネルギーに変換する装置です。一般的に、太陽光パネルは太陽光電池と呼ばれる複数のシリコンセルから構成されています。これらの太陽電池は、太陽光を吸収して光エネルギーを直流電気に変換します。
太陽光パネルの主な部品には以下のようなものがあります。
■太陽電池(ソーラーパネル):シリコンや他の半導体材料から作られた薄いウエハーが集められ、太陽光を受けて電気エネルギーを生み出します。
■フレーム:太陽電池を保護する枠組みで、一般的にアルミニウム合金が使用されます。
■接続器と配線:太陽電池を接続し、発電された電気を集めるための配線が含まれます。
太陽光パネルは、屋根や地面の上に設置され、太陽光を受けて電力を生成します。この電力は直流電気であり、家庭や企業の電気需要を満たすために、インバーターと呼ばれる装置を使用して交流電気に変換されます。
◆太陽光パネルのリユース・リサイクルが注目される理由
太陽光パネルは、再生可能エネルギーの一形態であり、温室効果ガスの排出を減らし、持続可能なエネルギーの利用を促進するために広く利用されています。多くの国々が再生可能エネルギーへの投資や太陽光発電の普及を促進するための政策を導入しています。補助金や税制優遇措置、再生可能エネルギー目標の設定などがその一例です。日本でも2012年のFIT制度をきっかけに、太陽光パネルが全国に普及し、設置されていきました。
しかし、太陽光パネルは一般的に20年以上の寿命を持ちますが、その後は効率が低下し始め、最終的には交換や廃棄が必要となります。そのため、2030年の太陽光パネルの廃棄問題として、現在注目されている課題の一つです。
世界中でも2030年以降を目安に大量の太陽光パネルが寿命を迎え、廃棄されることが予想されています。この廃棄される太陽光パネルの量は、環境への影響や廃棄物処理施設の負荷を考えると、重要な問題となります。
そこで、太陽光パネルのリユース・リサイクルが注目されています。
太陽光パネルの製造には、希少資源やエネルギーが必要です。また、一部の太陽光パネルには有害物質が含まれている場合もあります。リユース・リサイクルにより、これらの資源を節約し、環境への負荷を減らすことができます。
また、太陽光パネルには、ガラス、アルミニウム、銅、シリコンなどの貴重な資源が含まれています。これらの材料をリサイクルし、再利用することで、新しい太陽光パネルの製造に必要な原材料の需要を減らすことができます。
ヨーロッパやアメリカなど先進国中心に、多くの国や地域が、太陽光パネル廃棄物の処理やリサイクルに関する法規制を導入し始めています。太陽光パネルのリサイクル技術は着実に進歩しています。新しい方法やプロセスが開発され、効率的なリサイクルが可能になっています。これにより、リサイクルコストの削減や再生材料の品質向上が期待されます。
◆太陽光パネルのリユース・リサイクルについて詳しく知るには
専門性が高く、情報が少ない分野であるのも事実です。そのため、一般社団法人 環境エネルギー循環センターでは、太陽光ビジネスに関わる方、産業廃棄物ビジネスに関わる方などに向けて、定期的なセミナー等を通じて情報発信を行っています。廃棄・リサイクルに関する現状と政府による法規制、太陽光パネルの廃棄の実情と具体的な処理方法や正しい処理フローについて知りたい方はぜひ活用するとよいでしょう。
また、個人・企業・お客様で太陽光発電設備を所有されている方は、同団体が運営する太陽光リサイクルネットからお問合せすると専門スタッフが相談にのってくれますので、参考にしてみてください。
太陽光パネルのリユース・リサイクルは環境、サーキュラーエコノミー、SDGsの観点からも重要な取り組みとなっていることがお分かりいただけたでしょうか。これから、2030年に向けてますます太陽光パネルのリユース・リサイクルは注目されていくでしょう。