
あなたの家に眠っているカメラや古着、フィギュア、レコード、バッグ。それらが日本国内の中古品としてだけでなく、世界の誰かにとっての宝物として旅立っていく未来が、どんどん当たり前になっています。
かつて世界を席巻したのは「MADE IN JAPAN」の信頼でした。今、それに並ぶかそれ以上の言葉として世界に広がりつつあるのが「USED IN JAPAN」です。
本記事では、世界で注目を集める日本の中古品「USED IN JAPAN」の市場動向と、リユース業界で働く人・働きたい人にとっての意味を、市場データとともに解説します。
日本の中古品市場は今、どこまで大きくなっているか
日本のリユース市場は、2009年に約1兆1,000億円規模だったものが、2030年には約4兆円に達すると見込まれています。20年余りで約3.6倍という成長ペースは、産業として確実に存在感を増していることを示しています。(出典:環境省「令和6年度 リユース市場規模調査 報告書」)
国内市場の拡大と並走する形で、日本の中古品の海外需要も急速に高まっています。世界最大級の越境ECプラットフォームであるeBayの日本法人が発表したデータによると、日本からの年間販売総額は2020年からの4年間で倍増し、国別の事業成長率では4年連続トップを記録しています。
世界の中古市場は「成長の途中」にある
世界規模で見ると、高級中古品市場は年平均およそ12%というスピードで拡大しています。これは一般市場の成長率の約4倍にあたります。
中古を選ぶ理由が「安いから」だけではなくなってきていることも、この成長を支えています。Z世代を中心に、サステナブルな消費への関心や、新品にはないストーリーや個性を重視する価値観が広がり、中古であることそのものが魅力として受け入れられる時代になっています。
世界規模で見ると、リユース市場はこれから何段階も伸びていく途中にある市場です。だからこそ、今この産業に関わることの意味は大きいと言えます。
「USED IN JAPAN」が世界で信頼される本当の理由
日本の中古品が海外で選ばれる理由として、まず円安の恩恵が語られることが多くあります。しかし、価格だけでは説明できない要素がこの需要を支えています。
「丁寧に使われている」という文化的信頼
日本の中古品には「丁寧に使われている」というイメージが世界に定着しています。多少古くても状態が良い、クリーニングや管理が行き届いている、という評価は、日本人の消費文化と保管習慣が生んだものです。
都内の中古ブランド買取販売店では来店客数がここ1年で倍増し、外国人客が約8割を占めるという店舗も出てきています。eBayのデータでも、中古品の平均購入価格が新品より高い期間が続いたことが報告されており、国際送料や関税を払ってでも「日本の中古が欲しい」と感じる人が世界に確実に存在しています。
「チェックド・イン・ジャパン」という新しい価値
近年、「MADE IN JAPAN」から派生した「CHECKED IN JAPAN」という概念が海外で広がりつつあります。日本の鑑定・査定プロセスへの信頼を表す言葉で、タイや米国からの買い物客が「日本の鑑定は正確で信頼できる」と口にするようになっています。
この信頼を支えているのが、業界各社が開発・導入を進めるAI真贋判定技術です。マイクロスコープで撮影した商品画像をAIが過去の蓄積データと照合し、経験の浅いスタッフでもベテランと同水準の査定ができる環境が整いつつあります。
品質の高さと安心感への信頼の積み重ねが、日本の中古品を単なる割安品ではなく、世界が求めるブランドへと押し上げています。
日本にしかない希少性
海外では入手困難なタイトルのレコードやCDが日本の中古市場に残っていることや、国内でしか流通していないアイテムや限定モデルが多いことも、海外需要を高める要因です。
世界のコレクターが日本の中古ショップをオンラインで巡回し、買い逃しを探すという光景は今や珍しくありません。日本人にとっては普通の中古品でも、海外の人にとっては唯一無二の存在になり得るという面白さが、この市場にはあります。
世界で売れる日本の中古品 カテゴリー別トレンド
海外で人気の日本の中古品には、ジャンルごとに異なる需要の背景があります。
古着・アパレル インバウンドとヴィンテージブームが重なる
日本の古着市場は、インバウンド需要とヴィンテージブームという2つの波が重なり、活況を呈しています。都内の中古ブランド買取販売店では来店客数がここ1年で倍増し、外国人客が約8割を占めるという店舗も出てきています。
eBayのデータでは、メンズアパレルでビンテージものの人気に加え、高級国産デニムやアシックス「オニツカタイガー」などの国産スニーカーも売り上げを伸ばしています。また、米国の古着店ではすでに入手困難になったスポーツ選手のユニフォームを、日本の中古店で見つけるという外国人客も増えています。
カメラ・ホビー・トレカ レトロブームとコレクター需要
フィルムカメラや旧型デジカメは、「エモい」写真が撮れるとしてレトロブームの追い風を受け、海外から購入するケースが急増しています。eBayによると、旧式センサーを搭載した中古コンパクトデジタルカメラへの海外需要が相次いでいます。
アニメやゲームに関連したトレーディングカード、フィギュア、プラモデル、ゲームソフトは、どの国でも圧倒的な人気を誇ります。日本のショップでは当たり前の商品でも、海外の人にとっては憧れの世界そのものとして映ります。まんだらけの海外売上高が30億円超に達しているのは、こうした需要を反映した結果です。
ブランド品・時計 「CHECKED IN JAPAN」の信頼が価格を支える
腕時計やバッグなどの高級ブランド品は、「日本で鑑定された=信頼できる」という評価から、中古でも高く評価されるジャンルです。コメ兵HDやバリュエンスHDが海外売上高で上位に名を連ねているのは、この分野における日本企業の強みを示しています。
円安を追い風に、国際送料や関税を払ってでも日本の中古ブランド品を求める層は安定して存在しており、今後も継続的な需要が見込まれます。
家電・バイクパーツ 東南アジア・中東・アフリカへ
日本の中古家電やバイクパーツは、東南アジア・中東・アフリカ方面への輸出で根強い需要があります。eBayのデータでは、ヤマハ・ホンダ・カワサキ・スズキを中心としたバイクパーツの成長率が自動車パーツの3倍に達しているといいます。
埼玉・東松山市を拠点とする浜屋は1991年の創業以来、常時40カ国以上に日本の中古品を輸出し続けており、現在の売上高は約176億円に達しています。
越境ECの現実 成長の裏側にある課題
日本の中古品が世界へ届く背景には、越境ECプラットフォームの進化があります。一方で、その裏側では解決が容易ではない課題も増えています。
国際送料は年々高くなり、かつての安価な配送方法は廃止されつつあります。関税や税金の制度変更、各国の安全基準、危険物の扱いなど、国によって異なる複雑なルールへの対応コストも増加しています。
さらに2025年以降、トランプ関税の影響で米国向けへの販売が難しくなると、需給バランスが崩れ国内相場にも影響を及ぼす可能性があります。中国経済の悪化と合わせ、リユース品の販売先はより多様なグローバル展開が求められるフェーズに入っています。
日本企業の海外展開 リユース売上ランキング2025
リユース経済新聞が実施した「リユース売上ランキング2025(2024年度)」調査をもとにまとめた海外売上高ランキングは、日本のリユース企業がいかに海外市場を主戦場のひとつとして捉えているかを示しています。
|
順位 |
会社名・主な屋号 |
海外売上高 |
主な商材 |
|
1位 |
ゲオHD(2nd STREET・OKURA・ワールドモバイル) |
498億円 |
衣料品・時計・スマホ等 |
|
2位 |
パステック(モバステ) |
400億円 |
スマホ |
|
3位 |
貴瞬(色石BANK) |
340億円 |
宝飾品 |
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4位 |
コメ兵HD(KOMEHYO・BRAND OFF) |
200億円 |
ブランド・宝飾品 |
|
5位 |
バリュエンスHD(ALLU・STAR BUYERS AUCTION) |
144億円 |
ブランド・宝飾品 |
|
6位 |
グランチャ(買蔵) |
80億円 |
ブランド品 |
|
7位 |
パーパス(VINTAGE LOVER PURPOSE) |
74億円 |
ブランド・宝飾品 |
|
8位 |
ブックオフGHD(BOOKOFF・Jalan Jalan Japan) |
62億円 |
本・メディア・ホビー等 |
|
9位 |
JP.Company(monoshare) |
60億円 |
ブランド品 |
|
10位 |
タケモトピアノ |
50億円 |
ピアノ |
出典:リユース経済新聞 リユース売上ランキング2025(2024年度)・IR資料
1位のゲオHDは米国47店、台湾39店、マレーシア23店、タイ4店を展開し(2025年3月末時点)、今期はシンガポール・香港にも進出して海外店舗数を148店に拡大する計画です。
2位のパステックは売上高の9割を海外向けが占め、消費者から買い取ったスマホを海外向けに販売する薄利多売モデルで急成長を続けています。ランキング全体を見ると、ブランド品・宝飾品・スマホ・ホビーと多様なカテゴリーで海外展開が進んでいることがわかります。
日本の中古品市場の拡大がリユース業界の仕事を変える
世界で中古品の価値が高まるほど、リユース業界の仕事はより多様に、より創造的になっていきます。日本の中古品は、ただ使われたものではなく、日本人の丁寧な暮らしや文化が宿った物語のあるモノとして世界に届けられています。だからこそ、そこに携わる仕事はどれも価値を見つけ直す面白さを持っています。
バイヤー・査定士 世界目線の目利き力
ブランド品、カメラ、ホビー、古着、レコードなど、幅広いジャンルから価値を見極めるバイヤー・査定士の仕事は、国内需要に加えて世界での人気を意識した目利きが求められるようになっています。
AI真贋判定技術の導入により、経験の浅いスタッフでも精度の高い査定ができる環境が整いつつある一方、AIでは判断できない微妙なコンディション評価や希少性の判断は、人の経験と感覚が不可欠です。技術と人の目が組み合わさることで、査定の質が上がっていく仕事です。
越境EC・デジタル 翻訳・AI・在庫管理
海外向けの商品ページづくり、多言語翻訳、在庫管理、販売戦略など、国境を越えたオンライン販売を支える仕事の需要が高まっています。AIを活用した翻訳や商品説明の自動生成、動画コンテンツの制作など、テクノロジーを使ってリユースの価値を世界に届ける役割は今後さらに広がっていきます。
インバウンド接客 外国人客対応の新スキル
国内店舗でも外国人客の比率が急増しています。中古ブランド買取販売店では来店客の約8割が外国人というケースも出てきており、英語や中国語での接客対応、帰国後のオンライン購入につなげるフォローアップなど、新しい接客スキルが注目されています。
SNS・コンテンツ ストーリーで価値を伝える仕事
SNSや動画制作を通じて中古品の魅力を発信する仕事も増えています。商品の背景にあるストーリーや文化を伝える力がそのまま仕事の価値に変わります。自分の好きや得意をコンテンツとして発信しながら、リユースの世界観を広げていく働き方は、これからのリユース業界ならではのキャリアです。
「USED IN JAPAN」が示す、リユース業界の今と可能性
日本の中古品市場は国内で約4兆円(2030年見込み)、海外でも急速に存在感を高めており、「USED IN JAPAN」は世界が信頼するブランドになりつつあります。その背景にあるのは、丁寧に使われてきた日本の文化、精度の高い鑑定・査定体制、そして国内にしかない希少品の存在です。円安はその追い風に過ぎず、本質は品質と信頼です。
日本のリユース企業の海外展開も加速しており、衣料品・ブランド品・スマホ・宝飾品など多様なカテゴリーで海外売上を急拡大させる企業が相次いでいます。トランプ関税や中国経済の影響でグローバル化はさらに加速する見通しで、販売先の多様化が業界全体の課題になっています。
この産業の拡大は、バイヤー・査定士・EC担当・インバウンド接客・コンテンツ制作など、多様な仕事の需要を生み出しています。世界から注目を集めるリユース業界で働くことに興味を持った方は、ぜひ『リユース転職』にご相談ください。業界経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの状況に合わせた求人情報の紹介からキャリア相談まで、無料でサポートします。
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